糖尿病治療薬のインスリンによる腫瘤における毒性発現の謎に迫る
2021-03-26 愛媛大学
概要
このたび、愛媛大学大学院理工学研究科の座古保教授らの研究グループは、東京医科大学茨城医療センター、佐々木研究所附属杏雲堂病院、日本電子株式会社、ノルウェー科学技術大学(ノルウェー)との国際共同研究により、抗生物質の1種であるミノサイクリンによるインスリンアミロイドの分解および毒性中間体の生成を明らかにしました。
インスリンは高温・酸性条件下で、アミロイドとよばれる、アルツハイマー病などの様々な疾患の原因とされる凝集体を形成することが知られています。一方、糖尿病治療患者のインスリン製剤注射部位にインスリンアミロイド凝集が含まれる皮下腫瘍(インスリンボール)が形成される場合があり、治療過程での皮膚合併症として問題視されています。今回、インスリンのアミロイド凝集が、抗生物質の1種であるミノサイクリンによって分解され、一時的に高毒性分解物を生じる事を見出しました。本研究により、体内に存在するインスリンボールの毒性発現メカニズムについても明らかになることが期待されます。
本研究成果に関する論文は、2021年3月25日付で、英国科学誌「Scientific Reports」に掲載され、オンライン版で公開されました。