2021-05-21 京都大学
足立晃正 医学研究科助教(現・京都医療センター医師)、本田哲也 同講師(現・浜松医科大学教授)、椛島健治 同教授らの研究グループは、マラソンなどの長時間の激しい運動が、血中の免疫細胞動態を変化させ、抗ウイルス免疫の増強にも減弱にも作用しうることを、動物モデルを使った実験で突き止めました。
これまで、長時間の激しい運動後に風邪をひくなど、運動が抗ウイルス免疫を低下させる可能性が指摘されていましたが、その真偽は不明でした。本研究ではマウスのヘルペスウイルス感染症モデルを用いて、運動が抗ウイルス免疫に及ぼす影響はウイルスに曝露されてから運動までのタイミングに依存して変動することを明らかにしました。運動中にステロイドホルモンの1つであるグルココルチコイドが産生され、血液中のpDCという免疫細胞を一過性に骨髄に移動させました。これにより、血液中のpDC数は一過性に減少し、その後逆に一過性に増加しました。これら血中pDC数の一過性の低下、増加に応じて、抗ウイルス免疫は一過性に低下、および増強しました。本研究により、運動が抗ウイルス免疫に与える新たなメカニズムが解明されました。
本研究成果は、2021年5月6日に、国際学術誌「The Journal of Allergy and Clinical Immunology」のオンライン版に掲載されました。
図:本研究の概要図(Created with Biorender.com)
研究者情報
研究者名:椛島健治