2022-05-18 愛媛大学
慶應義塾大学医学部内科学教室(消化器)の金井隆典教授、同内視鏡センターの筋野智久専任講師、同医学部の吉松裕介特任助教らの研究グループは、愛媛大学大学院医学系研究科医学専攻分子病態医学講座の今村健志教授らとの共同研究において、潰瘍性大腸炎患者における炎症抑制に有効とされる生薬「青黛(せいたい)」が、炎症抑制性免疫細胞(制御性T細胞;Treg)を大腸上皮直下に誘導することを実証しました。
潰瘍性大腸炎は原因不明の慢性炎症性腸疾患で、難治の症例も少なくありません。以前同教室を中心に実施した多施設共同研究では、青黛が潰瘍性大腸炎に有効であることを実証しており、青黛の成分が腸管上皮の再生に関与している可能性が既に報告されています。本研究において、マウスおよび潰瘍性大腸炎患者において、青黛により大腸の上皮を介してこれまでにない特徴的な遺伝子を発現するTregが上皮直下に誘導される現象が示されました。
本研究が発展し、このTregが上皮を修復する機序の解明に至れば、これまでの潰瘍性大腸炎治療の主体である免疫を抑制する治療とは一線を画した新規治療法につながる可能性があると考えられます。
本研究成果は2022年5月10日午前11時(米国東部時間)に国際総合学術誌である『Cell Reports』に掲載されました。
青黛(IN)がマウスのDSS腸炎において腸管の炎症を抑制した
本発表資料のお問い合わせ先
愛媛大学大学院医学系研究科医学専攻 分子病態医学講座
教授 今村 健志(いまむら たけし)