2021-12-08

生体から不良細胞を除去する「細胞競合」の仕組みの一端を解明 生物化学工学

生体から不良細胞を除去する「細胞競合」の仕組みの一端を解明

ショウジョウバエを用いて細胞競合を引き起こす遺伝子変異を探索した結果、小胞体ストレスを起こした細胞が細胞競合によって排除されることを見つけました。小胞体ストレスを起こした細胞では、小胞体ストレス応答の1つであるPERK-eIF2α経路が活性化することでタンパク質合成量が低下することが知られています。小胞体ストレスを起こしていなくても、転写因子Xrp1の発現量が増大した不良細胞ではPERK-eIF2α経路が活性化してタンパク質合成量が低下することがわかりました。生体内に生まれた不良細胞はXrp1タンパク質の発現量を増大することでPERK-eIF2α経路を介してタンパク質合成量を低下させ、これが目印となって近接する正常細胞によって排除されることが示唆されました。
日本は生物分布の終着点ではない~日本列島でニホンキクガシラコウモリが多様化したことを解明~ 生物工学一般

日本は生物分布の終着点ではない~日本列島でニホンキクガシラコウモリが多様化したことを解明~

日本列島と朝鮮半島、および中国東北部に生息するニホンキクガシラコウモリのミトコンドリアDNAにおける遺伝的変異を解析しました。本種は日本列島内には3つの系統グループが存在し、それらのうちで最も新しいグループには南九州と朝鮮半島、および中国東北部に分布するコウモリが含まれることを明らかにしました。本種は大陸から渡ってきた後に日本列島で多様化した後、氷河期の海水面低下に伴い今より狭かった対馬海峡を渡って大陸へと再進出したことが示唆されました。
都市部地域住民を対象とした脳卒中発症の予測モデル(リスクスコア)の開発 医療・健康

都市部地域住民を対象とした脳卒中発症の予測モデル(リスクスコア)の開発

都市部地域住民を対象とした吹田研究を用いて、脳卒中の予測モデルを開発しました。
ジヒドロ-β-アガロフラン類:オイオニミンとオイオニミノールオクタアセテートの全合成 有機化学・薬学

ジヒドロ-β-アガロフラン類:オイオニミンとオイオニミノールオクタアセテートの全合成

炭素骨格上にすべての酸素官能基を有する3環性化合物を共通中間体として設計し、分子の三次元構造を利用した立体選択的な結合形成反応を精密に組み合わせた効率的合成と、今回確立した14員環構造構築法により、オイオニミノールオクタアセテートおよび世界初のオイオニミンの不斉全合成を実現しました。
口を使った細胞の移動 – アクチン波による細胞外形状情報の読み取り 生物化学工学

口を使った細胞の移動 – アクチン波による細胞外形状情報の読み取り

アメーバ細胞の変形を引き起こす、アクチン骨格系の進行波の生成と伝播が曲面上において特異なふるまいを示すことを観測と定量的な解析から明らかにした。細胞による地形感知のメカニズムとして、曲面上を進行する波のパターンとそれに付随して生じるカップ型の膜構造を介した、新たな機構を提唱した。地形感知の機構は、生体内など複雑な形状の足場における、細胞の変形や移動の仕組みの理解に資する。発表概要
ヒトES細胞の新たな細胞株を樹立 再生医療や遺伝子治療の開発、また産業分野への応用にも期待 細胞遺伝子工学

ヒトES細胞の新たな細胞株を樹立 再生医療や遺伝子治療の開発、また産業分野への応用にも期待

ヒトES細胞の新たな細胞株を樹立しました。細胞株(SEES-X:シーズ・テン)は、2014年の再生医療関連法施行後に、当センターとして樹立したヒトES細胞です。再生医療や遺伝子治療、細胞治療などへの使用だけではなく、創薬開発など産業分野への使用についても、活用の幅を広げていることが特徴です。ヒトES細胞を使用したい研究機関、企業に対して「無償」で提供いたします。
ウイルスによる細胞のストレス応答抑制機構の解明~ウイルスタンパク質による神経保護治療の可能性を探る~ 医療・健康

ウイルスによる細胞のストレス応答抑制機構の解明~ウイルスタンパク質による神経保護治療の可能性を探る~

宿主細胞のストレス応答を逃れて増殖するウイルスの分子機構を解明し、この分子機構を応用することで神経細胞の変性を抑制できることを示しました。細胞がウイルス感染を検知して翻訳を止める「ストレス応答経路」の解明や、ストレス応答経路が病態に深く関与している神経変性疾患の治療法の開発につながるものと期待できます。
新型コロナウイルスに殺傷効果を持つ記憶免疫キラーT細胞~体内に存在するもう一つの防御部隊~ 医療・健康

新型コロナウイルスに殺傷効果を持つ記憶免疫キラーT細胞~体内に存在するもう一つの防御部隊~

ヒトの体内に存在する季節性コロナウイルスに対する「記憶免疫キラーT細胞」が認識する抗原部位を発見し、その部位が新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のスパイクタンパク質(Sタンパク質)領域にも強く交差反応することを示しました。
東京都健康安全研究センターにおける、オミクロン株に対応した変異株PCR検査の開始について(第2705報) 医療・健康

東京都健康安全研究センターにおける、オミクロン株に対応した変異株PCR検査の開始について(第2705報)

健安研における変異株PCR検査では、オミクロン株の主な変異である、「N501Y」、「E484A」の変異の有無を確認します。これまでは、同じく「N501Y」の変異を有するアルファ株とオミクロン株との判別が困難でしたが、健安研では、オミクロン株に対応した「E484A」の検査手法を独自に構築しました。デルタ株の主な変異である「L452R」の検査と合わせ、3種類の変異を検査することで、都内における変異株の発生状況を把握していきます。
ゲノムリファレンスパネルとゲノム解析情報を拡充 医療・健康

ゲノムリファレンスパネルとゲノム解析情報を拡充

1万4千人の全ゲノム解析データをもとに日本人全ゲノムリファレンスパネル14KJPNを公開しました。日本人にみられる約6万8千個のゲノム構造多型とその頻度情報をデータベースとして公開しました。次世代シークエンス解析の参照配列として実用性を高めた日本人基準ゲノム配列の新バージョンJG2.1を公開しました。
ミトコンドリア酵素の阻害剤による新しい抗がんメカニズムの発見 医療・健康

ミトコンドリア酵素の阻害剤による新しい抗がんメカニズムの発見

微生物化学研究所が単離した新規化合物インターベノリン(ITV)は、ミトコンドリア呼吸鎖(電子伝達系)複合体I(呼吸鎖複合体I)の阻害剤であることを明らかにしました。呼吸鎖複合体I阻害剤はエネルギー代謝の阻害とは関係なく、細胞内と細胞外の両方の酸性化を誘導することでがん細胞の増殖を抑制することを発見しました。
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