日本医療研究開発機構

医療・健康

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染細胞は周囲の非感染細胞に細胞老化を誘導することで炎症反応を持続させる

新型コロナウイルスに感染した細胞が放出するサイトカインによって、周囲の感染していない細胞が細胞老化を起こし、ウイルスが消失した後も長期にわたり老化細胞から炎症性物質が分泌され続けることを見出しました。本研究成果は新型コロナウイルス感染症の病態の理解を深めると同時に、老化細胞の蓄積を抑制することで、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の後遺症の改善につながる可能性が期待されるものです。
細胞遺伝子工学

移植したヒトiPS由来細胞を刺激することにより、脊髄損傷の治療効果改善に成功

脊髄損傷マウスにヒトiPS細胞由来神経幹/前駆細胞を移植し、DREADDsと呼ばれる人工受容体技術を用いて、移植した細胞を刺激して移植細胞の活動性を繰り返し亢進させることで、脊髄損傷マウスの運動機能を回復させることに成功しました。
医療・健康

脳神経系タンパク質のリン酸化をまるごと理解

脳神経系のタンパク質リン酸化データベースであるKANPHOSを公開しました。データ駆動型研究の基盤となるタンパク質リン酸化の情報を提供するとともに、webツールや関連データベースを用いて、それらタンパク質・シグナルネットワークが関与する生理機能や関連疾患の情報を容易に引き出せる設計になっています。精神神経疾患の病因・病態の解明や治療戦略の創出などにつながることが期待されます。
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医療・健康

病気の原因がわからない赤ちゃんに対するゲノム解析の有用性を確認

17の高度周産期医療センターからなるネットワークを作り上げました。従来の検査法では原因を決めることができなかった85名の重症の赤ちゃんに対して、ゲノム解析という新しい方法で原因の究明を試みました。約半数(41名)が生まれつきの遺伝性疾患にかかっていることが判明しました。結果の判明したうちの約半数(20名)では、検査や治療方針の変更が行われ、このゲノム解析が新しい時代の医療技術として極めて有用であることを示しました。
細胞遺伝子工学

ヒトサイズに近いバイオ人工肝臓を使った移植実験に世界で初めて成功~臓器再生医療の実現化を加速~

動物の肝臓から主にコラーゲンなどの有効成分を残しバイオ臓器骨格を取り出す「脱細胞」という技術を応用して、世界で初めてヒトにも応用可能な大きさのバイオ人工肝臓を作製し、動物での移植を成功させました。このバイオ人工肝臓にはブタの細胞が使われており、慢性肝不全のブタに移植したところ、1ヶ月に渡って人工肝臓が機能し、肝障害の治療効果を示しました。
医療・健康

アジア人集団における遺伝的多型がマイクロRNA発現に及ぼす影響のカタログを作成

アジア人集団における遺伝的多型がマイクロRNA発現に及ぼす影響を網羅的にカタログ化した。個人の遺伝的多型情報からマイクロRNA発現量を予測する機械学習モデルを作成し、数十万人規模の疾患ゲノム情報に適用することで、多彩なヒト疾患の発症に関連するマイクロRNAを同定した。
医療・健康

2万人規模、国内最大のオンラインコホート構築からアルツハイマー病超早期の研究と治療を目指す『J-TRC研究』が新規ステージに

アルツハイマー病(AD)の早期・無症候段階にあたるプレクリニカル期ADの診断と治験に即応できるコホートの構築を目指す『J-TRC研究』が開始から3年を迎え、ウェブスタディに7,540名、オンサイト研究に333名と、本邦最大級規模の研究参加が達成されました。オンサイト研究参加者のうち、プレクリニカル又はプロドローマル期ADに相当するPET検査でのアミロイド上昇者の比率は25.5%であり、血漿Aβ42スコアはPETの結果を高率に予測しました。
医療・健康

不整脈源性心筋症の病態(心筋収縮力の低下、デスモゾーム形成異常)をヒトiPS細胞由来分化心筋細胞により解明

PKP2(プラコフィリン2)変異により発症する不整脈源性心筋症症例から作製したヒトiPS細胞由来分化心筋細胞を用いてヒト疾患モデルを確立し、PKP2遺伝子変異がデスモゾーム(介在板)形成異常に関与することを見いだした。アデノ随伴ウイルスを用いたPKP2遺伝子補充により、細胞と細胞をつなぐデスモゾームが回復する過程を可視化し、心筋細胞の収縮力が改善することを明らかにした。
医療・健康

日本人でも急性期脳梗塞の発症24時間までのカテーテルを用いた脳血管内治療に灌流画像が有用

急性期脳梗塞を発症し造影剤を使用した灌流画像検査の結果から治療適応を判断して、6時間以内と、6-24時間にカテーテルを用いた脳血管内治療(機械的血栓回収療法)を受けた場合、両グループに臨床転帰の有意差がないことを報告しました。
医療・健康

肝転移病変における免疫チェックポイント阻害薬に対する新規耐性メカニズムの解明

がん組織に存在する制御性T細胞のPD-1タンパク質の発現によって、免疫チェックポイント阻害薬(PD-1/PD-L1阻害薬)の治療耐性が生じることが明らかとなりました。がん組織内の制御性T細胞はPD-1タンパク質を高発現することで治療耐性を引き起こし、組織内の乳酸により、このPD-1発現が誘導されることを新たに発見しました。乳酸を多く産生する肝転移病変などにおいて、免疫チェックポイント阻害薬に耐性化している機序に関与している可能性が示されました。臨床の場で抗PD-1抗体治療によって肝臓転移巣がむしろ増悪することがあることが知られていましたが、その原因の一部が明らかになったと考えられます。
医療・健康

B型肝炎ウイルスの複製を抑制する宿主防御メカニズムを分子レベルで解明~ウイルスタンパク質の排除にオートファジーが関わる~

B型肝炎ウイルス(HBV)感染細胞におけるウイルスの増殖抑制に、インターフェロン誘導性タンパク質であるガレクチン-9(GAL9)が関わっていることを発見しました。GAL9は、HBVタンパク質をオートファジーと呼ばれる仕組みで分解するユニークな因子です。
有機化学・薬学

排尿障害治療剤ハルナールの医薬有効成分タムスロシンの連続合成を達成

尿路結石や前立腺肥大症に対して用いられる排尿障害治療剤(商品名:ハルナール)の医薬有効成分であるタムスロシンの連続合成を達成した。
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