東京大学

生物化学工学

チャネル(膜タンパク質)の開閉モデルの提唱~チャネルの通路を塞ぐ「脂質」が深く影響~

ATP(アデノシン三リン酸)放出チャネル(膜タンパク質)として知られるパネキシン1が、脂質に埋まった状態のクライオ電子顕微鏡構造を報告しました。ATPなどイオンよりも大きな分子を通すチャネルの開閉に、脂質が深く関わる可能性が示唆されました。
医療・健康

進行性前立腺癌に対する新しい免疫療法の確立~制御性T細胞を制御する~

進行性前立腺癌を発症した犬において、制御性T細胞(Treg)が腫瘍組織に浸潤するメカニズムを明らかにし、その阻害剤を用いたTreg浸潤抑制が有効な免疫療法となることを獣医師主導臨床試験により証明しました。 ヒトの前立腺癌の一部の患者では犬に類似した遺伝子発現パターンを有しており、犬と同様のメカニズムによってTregの腫瘍内浸潤が引き起こされている可能性を見出しました。進行性前立腺癌に対する新しい治療法を提示するとともに、犬が進行性前立腺癌の有用な自然発症動物モデルであることを初めて実証しました
生物工学一般

同期したシステム間の結合を振動時刻データから推定する公式を考案 ~事前データ不要で推定を可能に~

生物に見られる多様なリズムを生み出す「振動子」の相互作用をコンピューターによる機械学習で推定する、事前データなく、振動子間の相互作用およびノイズの大きさを推定する新理論を開発。
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生物化学工学

植物の地下での情報のやりとりを発見~地下茎で繋がった植物株間でのコミュニケーション~

地下茎で繁殖するイネ科植物が、地下茎を介した情報のやりとりにより、不均一な窒素栄養環境に巧みに応答して成長する仕組みを新たに発見しました。栄養繁殖をする野生イネ(オリザ・ロンギスタミナータ)のラメットが、不均一な窒素栄養条件に晒された場合、窒素欠乏側のラメットからの情報を受けて、窒素十分側のラメットで相補的に多くの窒素を吸収・同化し、窒素十分側のラメットの成長を優先させることで、群落として巧みに応答する仕組みを明らかにしました。
医療・健康

数理モデルを用いた肥満における代謝変化と制御の定量的理解

同位体標識実験を用いずにマルチオミクスデータから代謝変化とその制御を解析する数理モデルOMELETを開発しました。肥満モデルマウスにおける肝臓グルコース代謝変化とその変化を引き起こしている制御を定量的に解析しました。
生物化学工学

母親マウスは鼻で血を感知して探索・リスクアセスメント行動に出る~体外に出た血中ヘモグロビンが化学感覚 シグナルとなる~

マウスは外界にある血を鼻の中に取り込み、血中のヘモグロビンが化学感覚シグナルとして感知されることが明らかになりました。鼻に入ったヘモグロビンは、鼻腔下部に存在する鋤鼻(じょび)器官の神経組織に存在するGタンパク質共役型受容体の一つVmn2r88で受容されます。母親マウスでは、脳の視床下部の腹内側核背側部(VMHd)にヘモグロビンシグナルが伝達され、探索・リスクアセスメント様行動が表出することがわかりました
生物化学工学

メスで規則的な排卵をおこさせる脳内のしくみ ~メダカの脳を丸ごと使った神経活動の解析~

遺伝子改変したメスメダカの脳を丸ごと用いて神経活動を解析することで、脳内GnRH1ニューロンの高頻度の活動が規則的排卵を起こすことを発見しました。成熟卵巣から出されるホルモン信号と朝夕を知らせる何らかの時間信号がGnRH1ニューロンに伝わることで、このニューロンが活性化されることを明らかにしました。
生物化学工学

「友達」を記憶する、海馬の神経活動パターン~なぜ自閉症は友達を記憶しづらいのか?~

「友達についての記憶」を思い出している時に、記憶を貯蔵する海馬のニューロンがどのように活動をしているのかを、マウスを用いて明らかにしました。起きている時も寝ている時も、友達を思い出す時には、いつも決まった組み合わせのニューロンの集団が、決まった順番で活動していました。さらに友達を覚えづらい自閉症スペクトラムでは、この脳活動のパターンが乱れていることを発見しました。
医療・健康

SARS-CoV-2オミクロン株による中和抗体回避と感染指向性の変化

新型コロナウイルスの「懸念される変異株(VOC:variant of concern)」である「オミクロン株(B.1.1.529, BA系統)」が、デルタ株と比較して、治療用抗体製剤やワクチンの2回接種によって誘導された中和抗体に対して抵抗性があることを明らかにしました。
生物工学一般

AIを用いてマウスのグルーミングを検出

AI(畳み込みニューラルネットワーク)を用いて、マウスを撮影した動画から自動的にグルーミング(毛づくろい)を検出する方法を開発した。
医療・健康

2万人規模、国内最大のオンラインコホート構築からアルツハイマー病超早期の研究と治療を目指す『J-TRC研究』が新規ステージに

アルツハイマー病(AD)の早期・無症候段階にあたるプレクリニカル期ADの診断と治験に即応できるコホートの構築を目指す『J-TRC研究』が開始から3年を迎え、ウェブスタディに7,540名、オンサイト研究に333名と、本邦最大級規模の研究参加が達成されました。オンサイト研究参加者のうち、プレクリニカル又はプロドローマル期ADに相当するPET検査でのアミロイド上昇者の比率は25.5%であり、血漿Aβ42スコアはPETの結果を高率に予測しました。
生物工学一般

新規光駆動型イオンチャネルの構造解明と高性能分子ツールの創出~神経科学に光を当てる~

光刺激によって陽イオンを輸送するタンパク質、チャネルロドプシンの中でも近年特に注目されているChRmineについて、クライオ電子顕微鏡を用いてその立体構造を決定し、ChRmineがイオンチャネルとして機能する仕組みを明らかにしました。得られた立体構造の知見を利用して、自然界には存在しない改変型ChRmineを作製し、分子ツールとして用いることでより発展的な光遺伝学実験を可能にしました。
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