大規模な睡眠解析から成人の睡眠パターンを16に分類 ~睡眠健診や睡眠医療への応用に期待~

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2022-03-15 科学技術振興機構,東京大学

ポイント
  • 腕時計型のウェアラブルデバイスで得られたデータから装着者が眠っているのか起きているのかを判定するデータ解析の機械学習アルゴリズム「ACCEL」を開発し、大規模な睡眠解析を行いました。
  • 英国で取得された約10万人の睡眠を統計的な手法を用いて分類したところ、朝型や夜型などを含む16タイプの睡眠パターンを確認しました。新たに分類されたパターンの中には、睡眠障害との関連が疑われる新しい睡眠パターンも含まれていました。
  • 腕時計型のウェアラブルデバイスから定量的な睡眠パターンの解析が可能になったことで、簡便で正確な睡眠診断が広がり、睡眠健診の実現や睡眠障害の診断や新しい治療法の開発につながることが期待されます。

近年、生活習慣の多様化に伴い、睡眠に不満・不安を覚える人が世界的に増えています。睡眠を簡便に測定し、1人1人の睡眠パターンを定量的に理解することは、ヘルスケアの分野だけでなく、睡眠障害の診断などの医療の観点からも非常に重要です。

JST 戦略的創造研究推進事業において、東京大学 大学院医学系研究科 機能生物学専攻 システムズ薬理学分野の上田 泰己 教授(理化学研究所 生命機能科学研究センター 合成生物学研究チーム チームリーダー兼任)、香取 真知子 氏(修士課程2年(研究当時))、史 蕭逸 助教(理化学研究所 客員研究員兼任)らは、研究室で独自に開発した、腕の加速度から睡眠・覚醒状態を判別する機械学習アルゴリズム「ACCEL」を用いて、英国のUK Biobankにある約10万人の加速度データを睡眠データに変換し、それを詳細に解析しました。その結果、この10万人の睡眠が16種類のパターンに分類できることを見いだしました。

その中には、朝型や夜型と言った既知の睡眠パターンに加え、睡眠障害との関係が疑われる新しい睡眠パターンも含まれていたことから、今後、ウェアラブルデバイスなどの加速度センサーを用いた計測とACCELを用いた解析を進めていくことで、睡眠障害のより良い診断基準の提案や睡眠障害の自動診断方法の開発、さらには新しい治療法の開発につながることが期待されます。

本研究成果は、2022年3月14日(米国東部時間)に米国科学アカデミー紀要「Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America;PNAS」のオンライン版で公開されます。

本成果は、以下の事業・研究領域・研究課題によって得られました。

戦略的創造研究推進事業 総括実施型研究(ERATO)

研究領域
「上田生体時間プロジェクト」
(研究総括:上田 泰己(東京大学 大学院医学系研究科 教授/理化学研究所 生命機能科学研究センター チームリーダー))

研究期間
2020年10月~2026年3月

JSTはこのプロジェクトで、睡眠・覚醒リズムをモデル系として「ヒトの理解に資するシステム生物学」を展開し、ヒトの睡眠覚醒において分子から社会に生きるヒト個体までを通貫する「生体時間」情報の理解を目指します。

詳しい資料は≫

<論文タイトル>
“103,200 acceleration dataset in UK Biobank revealed a landscape of human sleep phenotypes”
(UKバイオバンクに登録された10万3,200件の加速度データセットを用いた解析による、成人の睡眠表現型の全体像の解明)
<お問い合わせ先>

<研究に関すること>
上田 泰己(ウエダ ヒロキ)
東京大学 大学院医学系研究科 機能生物学専攻システムズ 薬理学分野 教授

<JST事業に関すること>
今林 文枝(イマバヤシ フミエ)
科学技術振興機構 研究プロジェクト推進部 ICT/ライフイノベーショングループ

<報道担当>
科学技術振興機構 広報課

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