腸の活発な運動で促進される糖質吸収の可視化に成功 ~肥満や糖尿病、腸内細菌に関する栄養吸収メカニズムの解明に期待~

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2022-09-21 東北大学,科学技術振興機構

ポイント
  • 蛍光色素で標識したグルコースを用いて腸における栄養吸収の可視化に成功
  • 線虫の腸内流動と腸壁における栄養吸収を関係付ける力学法則を発見
  • 腸の活性・疾患や腸内細菌に関係する栄養吸収メカニズムの解明に期待

食物から栄養を得る生き物にとって、腸における食物消化と栄養吸収は重要な生命活動の1つです。腸内の流動が速く、また腸の表面積が大きい場合にはグルコース(糖質の一種、ブドウ糖)・ビタミン・ミネラルなどの栄養素の吸収が促進されますが、反対に腸内の流動物の粘度が高く流動が遅い場合にはグルコーストランスポーターにおけるグルコースの取り込みやインスリン分泌の減少が知られています。しかし、腸内における栄養の取り込みと腸内の流動の関係は生理学的・薬理学的に重要であるにもかかわらず力学的メカニズムの詳細はこれまで明らかにされていませんでした。

東北大学 大学院工学研究科の鈴木 雄貴 博士(研究当時、後期博士課程在籍)、菊地 謙次 准教授らの研究グループは、モデル生物である線虫(C.elegans)を用いて、排便モータープログラム(DMP)による腸内の流動と腸壁からのグルコース吸収について、流体力学ではよく知られたTaylor分散によって腸内で栄養物質が撹拌(かくはん)され、腸壁での栄養吸収を助長していることを発見しました。この発見は、腸の活性・疾患や腸内細菌に関する肥満や糖尿病などにおける栄養吸収に関する力学的メカニズムの解明につながる成果です。

本研究成果は、2022年9月21日に、「Scientific Reports」に掲載されます。

本研究は、科研費(21H04999、19H02059、21H05306、 21H05308)、JST 創発的研究支援事業(JPMJFR2024)およびJST 次世代研究者挑戦的研究プログラム(JPMJSP2114)の支援を受けて行われました。

詳しい資料は≫

<論文タイトル>
“Reciprocating intestinal flows enhance glucose uptake in C. elegans”
DOI:10.1038/s41598-022-18968-1
<お問い合わせ先>

<研究に関すること>
菊地 謙次(キクチ ケンジ)
東北大学 大学院工学研究科 ファインメカニクス専攻/東北大学 高等研究機構 准教授(東北大学 ディスティングイッシュトリサーチャー)

<JST事業に関すること>
中神 雄一(ナカガミ ユウイチ)
科学技術振興機構 創発的研究支援事業推進室

<報道担当>
東北大学 大学院工学研究科 情報広報室(担当:沼澤 みどり)
科学技術振興機構 広報課

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