おたふくかぜウイルスの増殖に必要な宿主タンパク質の発見~SNARE タンパク質 USE1 がおたふくかぜウイルスの膜融合タンパク質の機能獲得に重要~

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2022-12-09 東京大学

1.発表者:
加藤 大志(東京大学大学院医学系研究科 病因・病理学専攻 准教授)
竹田 誠 (東京大学大学院医学系研究科 病因・病理学専攻 教授)

2.発表のポイント:
◆小胞輸送に関わる USE1 というタンパク質がおたふくかぜを引き起こすムンプスウイルス (MuV)が増殖するのに必要な因子であることを明らかにしました。
◆MuV が増殖するには細胞(宿主)の因子が必要であり、今回 MuV が細胞に侵入するために必要な膜融合タンパク質(F タンパク質)の機能獲得に重要な因子として USE1 を発見しました。
◆おたふくかぜに対する有効な治療薬はまだ存在しません。今回、原因ウイルスである MuV の増殖機構を理解することで、有効な治療法の開発につながると期待されます。

3.発表概要:
ムンプスウイルス(MuV)(注 1)は、耳下腺の腫れや痛みを主徴とし、しばしば重篤な合併症を伴うおたふくかぜ(注 2)の病因となるウイルスです。ウイルスが増殖するためには細胞に感染し、細胞(宿主)の助けを借りなければなりません。そのため MuV がどのように細胞内で増殖し、病気を起こすかを理解するには、感染に関わる宿主因子を探して、その機能を明らかにすることが必要となります。
東京大学大学院医学系研究科の加藤大志准教授と竹田誠教授らは、MuV の感染後期過程(細胞の中で作られたウイルスタンパク質とゲノム RNA から子孫ウイルス粒子が作られる過程)に必要な宿主タンパク質を探索しました。その結果、小胞体-ゴルジ体間の物質輸送に関わる USE1(注 3)というタンパク質が、MuV の膜融合タンパク質(F タンパク質)(注 4)の安定性の保持や、正確な糖鎖付加のために重要な機能を持っていることを明らかにしました。
本研究の成果は、MuV の増殖機構の解明につながるだけでなく、おたふくかぜの治療薬開発にもつながると期待されます。本研究成果は、2022 年 12 月 8 日(米国東部標準時)に米国科学誌「PLOS Pathogens」のオンライン版に掲載されました。
本研究は、日本医療研究開発機構(AMED)「新興・再興感染症研究基盤創生事業 (JP21wm0325024j0002)、新興・再興感染症に対する革新的医薬品等開発推進研究事業 (JP21fk0108623j0001、JP21fk0108617j0201、JP21fk0108087j0403)」、日本学術振興会(JSPS)科研費「基盤 C (19K07584)」の支援により実施されました。

詳しい資料は≫

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