植物間コミュニケーションの仕組みを解明~受容した香りを防御物質に変える遺伝子発見~

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2023-02-28 京都大学

昆虫に食べられた植物は香り物質を発散します。被害を受けた植物から発散された香り物質は、危険を知らせる「警戒情報」として近くの健全な植物に取り込まれます。この香り物質(警戒情報)を取り込んだ健全な植物は、前もって防御を開始します(植物間コミュニケーション)。この受容から防御にいたる機構の一つに、健全な植物が取り込んだ香り物質を配糖体に変換することがトマト株でわかっています。しかし、健全なトマト株が、「どのように」香り物質を配糖体に変換しているかは分かっていませんでした。

高林純示 生態学研究センター名誉教授、大西利幸 静岡大学教授、杉本貢一 筑波大学助教、小埜栄一郎 サントリーグローバルイノベーションセンター株式会社研究員、松井健二 山口大学教授らの研究グループは、サントリー生命科学財団、名古屋工業大学、国際医療福祉大学と共同で、多くの野生株のスクリーニング、遺伝子操作実験、生化学的実験、生物検定を有機的に組み合わせ、トマト株の防御力を強化する香気配糖体を生成させる配糖化酵素UGT91R13を同定しました。

本研究成果は、2023年2月8日に、国際学術誌「Nature Communications」にオンライン掲載されました。

植物間コミュニケーションの仕組みを解明~受容した香りを防御物質に変える遺伝子発見~青葉アルコールを受容したトマト株は、体内でそれを防御物質である青葉アルコール二糖配糖体にします。それを生み出す配糖化酵素(UGT91R1)を同定しました。

研究者のコメント
「トマトの野生系統で、青葉アルコール二糖配糖体を用いた防衛機構がどの様にして進化したのかは今後の課題です。またシロイヌナズナを用いた研究から、植物は青葉アルコールだけでなく様々な揮発性アルコール分子を二糖配糖体化すると予測しています。植物間コミュニケーションにおいて、二糖配糖体化された多様な分子がどのような機能を持つのかは興味ある点です。」(高林純示)

詳しい研究内容≫

研究者情報

研究者名

高林 純示

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