植物の減数分裂運命決定機構に関する総説を発表

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2023-05-29 国立遺伝学研究所

減数分裂は、受精に向けて染色体数を半減させる特殊な細胞分裂です。その過程では、両親のゲノム情報がシャッフルされて新たな遺伝子組み合わせが生み出され(減数分裂組換え)、次世代に伝達されます。減数分裂組換え機構は真核生物で広く保存されており、盛んに研究がされています。一方、生殖細胞が減数分裂に移行するための機構は生物種ごとに多様であり、特に植物では研究が進んでいません。

本総説では、主に顕花植物を対象に、減数分裂細胞を生み出す元となる細胞(胞子原基細胞)がどのように発生・増殖し、減数分裂に至るのかについて、最新の知見を交えて解説しました。植物の細胞壁成分のひとつであるカロース多糖が、雄性減数分裂の適切な開始タイミングと進行の制御に必須の役割を果たすという私たちの研究グループの成果も取り上げています。

なお、本総説の図を用いたイメージ画像は、143論文が掲載されているPlants 第12巻10号の表紙を飾りました。

Figure1

図:葯室におけるカロース合成・輸送モデル
(A) 減数分裂直前の葯の輪切り切片。(上)セルロース染色像。(下)カロース(赤)とGSL5(黄)の同時抗体染色。バーは20µm。(B) 雄性の減数分裂細胞(PMC)の細胞膜にアンカーされるカロース合成酵素(GSL)は、減数分裂移行の直前に、合成したカロースを隣接するPMCの間(APOPLAST)にカロースを放出する。カロースは細胞間隙を移動し、GSLが存在しないPMCとタペート細胞(TAPETUM)の細胞間隙に運ばれ、葯室内の全てのPMCを包み込む。


Genetic Regulation of Mitosis–Meiosis Fate Decision in Plants: Is Callose an Oversighted Polysaccharide in These Processes?
Harsha Somashekar and Ken-Ichi Nonomura
Plants (2023) 12, 1936 DOI:10.3390/plants12101936

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