2023-08-08 京都大学
近年、様々な慢性腎臓病で三次リンパ組織というリンパ節に類似した炎症病変が形成され、腎予後不良に関係することが報告されています。しかし、三次リンパ組織がどのように腎臓へ影響を障害するのか、そのメカニズムは不明でした。京都大学大学院医学研究科 腎臓内科学 柳田素子 教授(兼:高等研究院 ヒト生物学高等研究拠点(WPI-ASHBi)主任研究者)、好川貴久 同特定病院助教らの研究グループは、1) 腎臓の三次リンパ組織が周囲の近位尿細管上皮細胞を直接障害すること、2) 障害された近位尿細管や内部の線維芽細胞といった腎実質細胞と血球の相互作用により、三次リンパ組織が拡大すること、を見出しました。この研究成果は、三次リンパ組織がどのようなメカニズムで拡大し、腎臓を障害するかを明らかにしたもので、慢性腎臓病の新たな治療介入の開発の可能性を拓くものです。
本成果は2023年8月7日(米国東部時間)に国際学術誌「Journal of the American Society of Nephrology」にオンライン掲載されました。
詳しい研究成果は こちら
論文書誌情報
タイトル
Tertiary lymphoid tissues are microenvironments with intensive interactions between immune cells and proinflammatory parenchymal cells in aged kidneys
著者
Takahisa Yoshikawa, Akiko Oguchi, Naoya Toriu, Yuki Sato, Takashi Kobayashi, Osamu Ogawa, Satoko Sakurai, Takuya Yamamoto, Yasuhiro Murakawa, Motoko Yanagita
掲載誌
Journal of the American Society of Nephrology