2023-09-19 アメリカ合衆国・ローレンスバークレー国立研究所(LBNL)
- LBNL が、遺伝子編集の予測に利用できるワークフローの「Product Substrate Pairing (PSP)」を開発。
- CRISPR 遺伝子編集ツールに微生物遺伝子発現と酵素活性のコンピュータ―モデルを組み合わせたもので、既存技術に比べ迅速、簡易、低コストで新しい菌株を作製し、バイオ製造産業の持続可能化を促進するもの。
- PSP ワークフローは、一般的なバクテリアの食糧源をターゲット分子に転換できる菌株を生成して成果を上げているが、今回の研究では、PSP の真の実力を実証するために、毎年大量に排出されるリグニンから派生した分子を食糧源とする菌株の開発に焦点を当てた。
- 作物の刈り取りや開墾によって毎年大量に発生する農業廃棄物に豊富に含まれるリグニンは、バイオ製造に使用する菌株に与える環境に優しい前駆体として理想的。現在のバイオ製造プロセスでは、特別に栽培された作物の糖分子を利用しているが、豊富なリグニンを使用することでバイオ製造を再生可能でカーボンニュートラルなものにしたいと考える。
- リグニンの派生物を食糧源とするバクテリア株より開始し、PSP を用いて削除・挿入対象の遺伝子や、非ネイティブな化学物質の高いレベルでの生成を促す培養条件を調査した。
- コンピューターによる数千もの設計の評価後、2 種類について試験を実施。広範囲に利用できる青色色素のインジゴイジンを生成するようバクテリアの遺伝子を編集。最高で 77%の理論収量を達成した。
- コンピューターモデリングの繰り返し実行、実際の培養と CRISPR で改変した菌株の分析により、試行錯誤による菌株設計を不要とした一般化可能なワークフローを実証した。
- 遺伝子操作した微生物をミクロの工場として利用することで、薬品製造に向けた安定した資源の提供、食品産業の変革や、これまでは石油から作られていた高価値の化学物質の持続可能な製造が実現されている。
- 現在市場にあるバイオ製造による製品は、莫大な研究開発資金をかけた長年の研究活動に支えられている。LBNL では、すぐにでも実用化できる効率性での重要な化合物の遺伝子操作微生物による生産のプロセスを加速・合理化することで、急発展を遂げる同産業のさらなる進展を支援する。
- URL: https://newscenter.lbl.gov/2023/09/19/fast-track-strain-engineering-for-speedy-biomanufacturing/
関連情報
Cell Reports掲載論文(フルテキスト)
Maximizing microbial bioproduction from sustainable carbon sources using iterative systems
engineering
URL: https://www.cell.com/cell-reports/pdfExtended/S2211-1247(23)01098-7
Summary
Maximizing the production of heterologous biomolecules is a complex problem that can be addressed with a systems-level understanding of cellular metabolism and regulation. Specifically, growth-coupling approaches can increase product titers and yields and also enhance production rates. However, implementing these methods for non-canonical carbon streams is challenging due to gaps in metabolic models. Over four design-build-test-learn cycles, we rewire Pseudomonas putida KT2440 for growth-coupled production of indigoidine from para-coumarate. We explore 4,114 potential growth-coupling solutions and refine one design through laboratory evolution and ensemble data-driven methods. The final growth-coupled strain produces 7.3 g/L indigoidine at 77% maximum theoretical yield in para-coumarate minimal medium. The iterative use of growth-coupling designs and functional genomics with experimental validation was highly effective and agnostic to specific hosts, carbon streams, and final products and thus generalizable across many systems.