血液バイオマーカーを用いて、超早期段階での脳アミロイド PET 検査結果の予測を実現~アルツハイマー病の早期診断と治療に光~

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2024-05-23 東京大学

発表のポイント

◆血液を対象とするバイオマーカー検査により、アルツハイマー病に特徴的な脳内のアミロイドβ蓄積を検出する PET 画像検査の結果を正確に予測できることを、プレクリニカル期(無症状期)、プロドローマル期(MCI 期)等のアルツハイマー病超早期段階を対象に、日本人の JTRC 研究コホートで明らかにしました。
◆リン酸化タウ 217(p-tau217), アミロイドβ(Aβ)などの血液バイオマーカーの早期診断における有用性はこれまでに海外で検討され始めていましたが、日本人での大規模な実証は初めてであり、結果はスウェーデンのコホートでも再現されその普遍性が示されました。
◆血液バイオマーカーは、早期段階のアルツハイマー病の診断の精密化と効率化に有用と考えられます。

概要

東京大学大学院医学系研究科の新美芳樹特任准教授、岩坪威教授らのグループは、J-TRC コホート(注 1)研究参加者の血液を対象として、血漿アミロイドβ(Aβ)とスレオニン 217 リン酸化タウ(p-tau217)(注 2)を測定し、これらを組み合わせることにより、アルツハイマー病(AD) の脳に生じる最も重要な変化である Aβの蓄積を診断する PET 画像検査の結果を、超早期の段階において、これまでにない高い効率で予測することに成功しました。抗 Aβ 抗体薬を用いた AD の治療がレカネマブなどを用いて始まり、脳内の Aβ 蓄積を正確に評価する必要性が高まっています。しかし、アミロイド PET 検査や脳脊髄液 Aβ 測定などの現在用いられている検査法には、費用や利便・侵襲性などの面で多くの課題が残されています。近年、血液を用いて AD 脳の病理変化を診断する手法の開発が進んでおり、その有用性が報告され始めています。しかし これまでの検討では、人種間差の有無や、特に日本人での有用性に関する大規模なデータはほとんど得られていませんでした。
AD の早期・無症候段階にあたるプレクリニカル期 AD(注 3)や軽度認知障害(MCI)に相当するプロドローマル期(注 4)において得られた本研究の成果により、今後 AD の早期段階での適時適切な診断と、予防・治療への途が開かれるものと期待されます。

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