他国に類を見ない速さで高齢化が進む我が国における循環器診療の実態

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2018/09/19  国立循環器病研究センター

国立循環器病研究センター(略称:国循)は、一般社団法人日本循環器学会(東京都千代田区、代表理事:小室一成)と共同で循環器疾患診療実態調査(The Japanese Registry of All cardiac and vascular Disease; JROAD)を行っています。JROADは、全国レベルでの施設概要や検査および治療の実施頻度などからなるデータから成り立っており、我が国の循環器診療の実態に関する貴重な一次情報を提供しています。このたび、他国に類を見ない速さで高齢化が進む我が国における循環器診療の実態をまとめ海外に情報発信を行いました。本研究の成果は、専門誌「Circulation」に2018年9月4日付で掲載されました。

概要

JROADは、2004年以降日本循環器学会により開始された全国調査で、そのデータセンターは国循内に設置され、ウェブを用いて各施設が調査項目に回答する形式をとっています。2012年から2016年の調査では循環器専門医研修施設および研修関連施設(n=1298-1343)の登録率100%を達成しています。救急疾患として重要な急性心筋梗塞症の全国の入院患者数は2012年の約69,000人から2016年には73,000人と微増しており、この間の入院中の死亡率は約8%でした。一方同じ救急疾患として2015年より調査を始めた急性大動脈解離に伴う入院患者数は、2015年で20,406人、2016年で22,171人、院内死亡率は約11%でした。特記すべきは心不全による入院患者数です。2012年の約210,000人から2016年には約260,000人と、毎年1万人ずつ増加している実態が明らかとなりました(図)。

日本循環器学会ではJROAD参加病院の任意協力のもと、2014年よりDPC(Diagnosis Procedure Combination:診断群分類包括評価)データを匿名のうえ収集しデータベースを構築する事業(JROAD-DPC)を行っております。DPCデータには、診療報酬データのほかにも治療内容や予後などの標準化された患者単位の情報が含まれています。704,593件の診療録情報(2012.4-2013.3入院)を解析すると、心不全患者108,665例が抽出され、その平均年齢が男性(53%)75歳、女性(47%)81歳と特に女性において高齢の心不全患者が多い実態が明らかになりました。また心血管疾患と脳血管疾患の合併頻度は約10%で、これら多疾患罹患患者への治療体系の確立が今後の大きな課題であると考えられました。

本研究の意義

JROAD/JROAD-DPC研究は、日本循環器学会と国循共同で推進されており、同データベースより得られる多くの知見が我が国のみならず世界の循環器診療に寄与することが期待されます。

<図>

入院患者数の推移(JROADデータ:2012-2016)
青棒グラフ:年間入院患者数 赤線グラフ:院内死亡率

他国に類を見ない速さで高齢化が進む我が国における循環器診療の実態

医療・健康
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