2019/4/18 英国・ケンブリッジ大学
・ ケンブリッジ大学、スペイン・カタルーニャ工科大学とバルセロナ大学による共同研究で、プラスチッククリスタル(柔粘性結晶)のネオペンチルグリコール(NPG)の巨大な圧力熱量効果を発見。
・現在、世界のエネルギー量の 1/5 を消費する空調や冷蔵庫の冷媒として利用されている HFCs(ハイドロフルオロカーボン)や HCs(ハイドロカーボン)は、有毒性・可燃性で温暖化の一因であり、冷媒としての効率性にも課題がある。安価で環境に優しい NPG は、それらの代替として期待できる。
・ 従来の冷却技術では、HFCs や HCs のような流体の圧縮と膨張で起こる熱変化を利用するが、固体冷媒の NPG ではその微細構造を変化させることで作用する。この変化は磁場や電場、機械的な力をかけることでも起こる。
・ 今回、NPG や他の関連有機化合物において、現在商業的に利用される HFCs 等の熱変化に匹敵する極めて大きな圧力熱量効果を確認した。
・ 有機材料は、その化学結合の性質により圧縮が容易。NPG はペンキ、ポリエステルや潤滑剤等の合成で広く利用され、安価で簡単に入手できる。
・ 炭素、水素と酸素から構成される NPG の分子はほぼ球状で、分子同士の相互作用が微弱なため、分子は比較的自由に回転できる。圧縮による分子の再構築により、極めて大きな温度変化が得られる。
・ 今回の発見は、性能を低下させること無く安全で環境に優しい冷却技術の開発において、圧力熱量材料を研究開発の最前線に位置付けるものと考える。
・ 商業化を支援するケンブリッジ大学の Cambridge Enterprise と協力し、同技術の市場への投入を目指す。
URL: https://www.cam.ac.uk/research/news/green-material-for-refrigeration-identified
(関連情報) Nature Communications 掲載論文(フルテキスト)
Colossal barocaloric effects near room temperature in plastic crystals of neopentylglycol
URL: https://www.nature.com/articles/s41467-019-09730-9
<NEDO海外技術情報より>