全てのプラスチック廃棄物を新しいプラスチックにリサイクル

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(All plastic waste could be recycled into new plastic)

2019/10/18 スウェーデン王国・チャルマース工科大学

全てのプラスチック廃棄物を新しいプラスチックにリサイクル

・ チャルマース工科大学が、あらゆる種類のプラスチック廃棄物を分子レベルで分解する効率的なプロセスを開発。
・ 同プロセスは、既存のインフラのフレームワークを活かして、プラスチック工場をリサイクル工場に変える可能性を提供する。
・ 分解されず生態系に蓄積するプラスチックは、重要な環境問題の一つ。新プロセスでは、このようなプラスチックの強靭さを利点とし、循環利用を通じた廃プラスチックの真の価値と、その回収を促す経済的推進力を創出する。
・ 廃プラスチックを再利用するよりも、化石燃料から新たにプラスチックを製造する方が低コストであるが、同大学は今回、蒸気クラッキングによるプラスチックの化学的な回収の実験(2015 年に Chalmars Power Central facility にて実施)を通じて、廃プラスチックを元のプラスチックと同等の品質に変換する効率的なプロセスを開発した。
・ 約 850℃の適切な温度および適切な加熱率と滞留時間jを特定して一時間当たり 200kg のスケールで廃プラスチックを有用な混合ガスに変換し、同プロセスを実証。同混合ガスを分子レベルでリサイクルし、元のプラスチックと同品質の新しいプラスチックを作製した。
・ 2015 年に世界では約 3.5 億トンの廃プラスチックが排出され、そのうち 14%が物質回収のため収集され、8%が低品質のプラスチック、そして 2%が元のプラスチックと同等の品質のものにリサイクルされている。約 4%がプロセスの過程で消失。
・ それらの廃プラスチックの約 40%は、収集後に主に焼却によるエネルギー回収や減容化処理で大気中に CO2 を放出。残りの約 60%は埋立処理されている。回収されずに環境に流出するのは僅か約 1%であるが、全体量が多く自然劣化には時間がかかり、経時的に蓄積するため大きな環境問題となっている。
・ 現在のプラスチックのリサイクルモデルは、リサイクルを繰り返すごとに品質が劣化して最終的にはエネルギー回収に焼却処理される「廃棄物ヒエラルキー」に従う傾向にある。
・ 石油化学プラントの「クラッカー」で様々な種類のプラスチックを新たに製造する、現行の製造方法と同様のことを回収した廃プラスチックで行うためには、新プロセスの開発が不可欠。今回、同大学は、このようなプロセスのコスト効率的な設計と、既存の石油化学プラントへの導入に向けた技術的な側面を提案。今日の石油化学プラントから未来のリサイクリングリファイナリーへの飛躍的な転換の可能性を期待する。
・ 同プロセスの実施可能性を実証する初期トライアルを経て、一日当たり数トンから、商用レベルの数百トンへの処理容量のスケールアップに必要な見識を得るため、同プロセスのより深い理解を目指す。
URL: https://www.chalmers.se/en/departments/see/news/Pages/All-plastic-waste-could-berecycled-into-new-high-quality-plastic.aspx

(関連情報)
Sustainable Materials & Technologies 掲載論文(フルテキスト)
Circular use of plastics-transformation of existing petrochemical clusters into thermochemical recycling plants with 100% plastics recovery
URL: https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2214993719300697?via%3Dihub

Abstract

Plastics represent a serious waste-handling problem, with only 10% of the plastic waste (PW) generated world-wide being recycled. The remainder follows a linear economy model, involving disposal or incineration. Thermochemical recycling provides an opportunity to close the material cycle, and this work shows how this can be achieved using the existing petrochemical infrastructure. The transformation of a generic petrochemical cluster based on virgin fossil feedstocks into a cluster that is based on PW has the following proposed sequence: (1) the feedstock is partially replaced (45% on carbon basis) by PW; (2) the feedstock is totally replaced by PW; (3) the process undergoes electrification; and (4) oxy-combustion and carbon capture and storage are introduced to achieve 100% carbon recovery in the form of monomers or permanent storage. An alternative transformation pathway that includes the introduction of biomass is also considered. The energy and carbon balances of the proposed implementation steps are resolved, and cost estimates of the savings related to the feedstock and required investments are presented. The main conclusion drawn is that switching the feedstock from virgin fossil fuels to PW (Implementation steps 1 and 2) confers economic advantages. However, the subsequent transformation steps (Implementation steps 3 and 4) can only be justified if a value is assigned to the environmental benefits, e.g., CO2 savings, increased share of biogenic carbon in plastic products, increasing recycling quotas, and/or the potential of the process to compensate for the intermittency of renewable power. It is also discussed how utilisation of the diverse compositions of PW streams by additional processes can meet the other demands of a chemical cluster.

有機化学・薬学
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