2018-04-27 国立遺伝学研究所,University of Edinburgh (英国),Hubrecht Institute (オランダ), Institute for Cardiovascular Organogenesis and Regeneration(ドイツ), Loyola University Chicago(米国),Lipmann Institute(ドイツ), Friedrich-Schiller-University(ドイツ)
Wilms Tumor 1b defines a wound-specific sheath cell subpopulation associated with notochord repair
Lopez-Baez, J.C., Simpson, D.J., Forero, L.L., Zeng, Z., Brunsdon, H., Salzano, A., Brombin, A., Wyatt, C., Rybski, W., Huitema, L.FA., Dale, R.M., Kawakami, K., Englert, C., Chandra, T., Schulte-Merker, S., Hastie, N.D., and Patton, E.E.
eLife 2018;7:e30657 DOI:10.7554/eLife.30657
加齢等による脊椎の変性の再生治療のためには、変性のプロセスを遅らせたり、元に戻したりする可能性のある細胞の同定が重要です。本研究では、ゼブラフィッシュの脊索傷害後に、脊索鞘細胞(sheath cell)の一部にWilms Tumor(WT)1bを発現する細胞群が出現し、それらが損傷部位に移動してストッパーのような構造を形成し、脊索構造の完全性を維持する可能性があることを明らかにしました。驚くべきことに、wt1b発現細胞は非典型的な軟骨中間体を経て、損傷部位において成人期の脊椎にまで維持されていました。このことは発生期の脊索細胞が成人の椎間板に保持されうることを示してます。本研究により同定された新規細胞集団は、脊椎疾患再生治療に重要な可能性を拓くものです。
本研究は、国立遺伝学研究所、University of Edinburgh (英国), Hubrecht Institute (オランダ)Institute for Cardiovascular Organogenesis and Regeneration (ドイツ)Loyola University Chicago (米国)Lipmann Institute (ドイツ), Friedrich-Schiller-University (ドイツ)の共同研究として行われました。
図:脊索の液胞細胞特異的にGFPを発現するトランスジェニックフィッシュにおいて、脊索損傷後に脊索が修復される様子を表す(24-72時間後のGFP発現細胞の出現)。