2020-06-22 京都大学
佐々木亮 医学研究科助教、Greg DeAngelis 米国ロチェスター大学博士、Akiyuki Anzai 同博士、Dora Angelaki 米国ニューヨーク大学博士らの研究グループは、物体の動きに関与する柔軟な座標表現の脳機能を明らかにしました。
我々ヒトを含む動物は、自他の間合いを巧みに取りながら空間内を自由に動きまわることができます。自他の動きを正確に検出し、自身に対して外界の物体がどのように動いているか(自身中心座標)、あるいは外界に対して自身がどのように動くか(世界中心座標)、そしてそのどちらがその瞬間に重要かを判断する必要があります。
本研究では、このような物体の動きに関する座標表現について取り上げ、覚醒行動下のサルを用いて、心理行動、神経生理及び計算論的アプローチから得られた総括的な理解を目指しました。これまでの研究では、脳内には網膜、眼、頭部、体幹といった様々な座標系が独立に存在しているというのが定説でしたが、本研究は脳のある領野(腹側頭頂野)の一つひとつの神経細胞が物体の動きに対する複数の座標表現を有し、状況に応じて実に柔軟に判断を切り替えていることを発見しました。
本研究成果は、2020年6月16日に、国際学術誌「Nature Neuroscience」のオンライン版に掲載されました。
図:本研究の概要図