移植後血栓性微小血管障害の発症リスク因子を発見~KSCTGコホート研究に基づく新たな最適治療戦略~

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2020-07-14 京都大学

松井宏行 医学部附属病院医員(現・米国Buck Institute研究員)、新井康之 同助教、近藤忠一 医学研究科講師、髙折晃史 同教授らの研究グループは、本学並びに関連病院血液内科からなる京都造血幹細胞移植グループ(Kyoto Stem Cell Transplantation Group、略称KSCTG)に登録された同種造血幹細胞移植後の患者2,425人のデータを用いて、移植後血栓性微小血管障害症(TA-TMA)の発症リスク因子と治療法の検討を行い、ヒト白血球抗原型(HLA)不一致移植に加えて、急性移植片対宿主病(GVHD)の合併がリスク因子になることを見出しました。

更に従来提唱されているTA-TMA治療法である「カルシニューリン阻害剤(免疫抑制剤)投与中止・ステロイドへの変更」に比べて、「カルシニューリン阻害剤の減量・継続投与」の方が予後を改善することを明らかにしました。

同種移植は難治性血液疾患に対して治癒が望める治療法ですが、治療関連合併症が多く、中でもTA-TMAは難治性の合併症です。しかし、TA-TMAの発症リスク因子は十分に解析されておらず、また、治療法に関しても確立されていませんでした。今回の研究成果は、TA-TMA高リスク症例への予防法開発や、発症時の適切な治療法選択を可能にするものであり、同種移植全体の治療成績改善に役立つと考えられます。

本研究成果は、2020年7月13日に、国際学術誌「Blood Advances」のオンライン版に掲載されました。

図:本研究の概要

詳しい研究内容≫

医療・健康
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