アトピー性皮膚炎で補完代替療法(民間療法など)の使用歴のある お子さんは重症度が高い

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標準治療について、患者や家族の不安払拭や理解が重要

2020-07-15 国立成育医療研究センター

国立成育医療研究センター(所在地:東京都世田谷区大蔵2-10-1、理事長:五十嵐隆)のアレルギーセンター大矢幸弘センター長、山本貴和子、佐藤未織のグループは、アトピー性皮膚炎において補完代替療法(民間療法など)の使用歴の有無が、その後の重症度やQOL(Quality of Life、生活の質)にどのような関連があるのかを調査しました。
調査は、2015年4月から2016年3月に当センターを初めて受診したアトピー性皮膚炎患者を対象に、電子カルテのデータを後方視的に解析しました。その結果、アトピー性皮膚炎に対する補完代替療法の使用歴のある患者グループは、使用歴のない患者グループと比較して、有意に当センター初診時のアトピー性皮膚炎の重症度が高く、保護者のQOLが低いことがわかりました。また、この2つのグループでは、当センターを初めて受診するまでの標準治療(ステロイド外用薬)の使用歴に違いはありませんでした。しかし、補完代替療法の使用歴のある患者グループでは、標準治療(ステロイド外用薬)を自ら中断してしまう患者が多いことが分かりました。
アトピー性皮膚炎の病態や標準治療について、医療従事者が正確で十分な情報を患者・家族へ分かりやすく伝えること、また患者・家族の標準治療に対する不安や補完代替療法の使用について医療従事者が把握するよう努めることが必要です。
この論文は、Japanese Society for Investigative Dermatologyが発行しているJournal of Dermatological Scienceに掲載されました。

pr_20200715.jpegの画像

プレスリリースのポイント

・当センターを初めて受診する時までに、アトピー性皮膚炎に対する補完代替療法の使用歴があると、アトピー性皮膚炎の重症度が高い傾向にあり、保護者のQOLは低い傾向にありました。また、補完代替療法の使用歴のある患者グループでは、標準治療(ステロイド外用薬)を自ら中断する患者が多くいました。

・医療者が科学的根拠に基づいた正しい情報や標準治療を、患者・家族へ分かりやすく伝えること、また、患者・家族の標準治療に対する不安を払拭させ、補完代替療法の使用について把握し共感を示すことが必要です。

・ 本研究は後方視的な横断研究のため、補完代替療法の使用により重症度に影響がでたのか、重症度が高いから補完代替療法を使用したのか明らかではありません。アトピー性皮膚炎の重症度やQOLとの関連は明らかになりましたが、因果関係を結論づけることはできません。

発表論文情報

【著者】:佐藤未織1,2)、山本貴和子1)、羊利敏1)、苛原誠1)、石川史1)、岩間元子1)、宮田真貴子1)、齋藤麻耶子1,2)、

宮地裕美子1)、稲垣真一郎1)、福家辰樹1)、野村伊知郎1)、成田雅美1)、鈴木孝太2)、大矢幸弘1)

【所属】:国立成育医療研究センター アレルギーセンター1)、愛知医科大学医学部衛生学講座2)

【題名】:Complementary and alternative medicine and atopic dermatitis in Children

【掲載誌】:J Dermatol Sci. 2020 Jan;97(1):80-82.

詳しい資料は≫

担当診療科

アレルギーセンター

医療・健康
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