2020-07-20 愛媛大学
ポイント
- 死亡漂着したスナメリから線維芽細胞の培養に成功
- 細胞を用いて毒性影響を引き起こす環境汚染物質の濃度を予測
- 瀬戸内海スナメリの体内に蓄積している汚染物質濃度と毒性を示した濃度を比較し、リスクを評価
概要
環境汚染物質の体内蓄積は海棲哺乳類の健康の脅威となっています。一方、その毒性影響に関する調査・研究は十分ではありません。愛媛大学沿岸環境科学センター(CMES)の研究チームは、瀬戸内海に生息する小型鯨類のスナメリ(Neophocaena asiaeorientalis)から線維芽細胞を培養し、環境汚染物質による影響を調査しました。結果として、瀬戸内海のスナメリの体内に蓄積されたポリ塩化ビフェニル(PCBs)と農薬・殺虫剤の一種であるジクロロジフェニルトリクロロエタンおよびそれらの代謝産物(DDTs)の濃度が細胞レベルで悪影響を及ぼしている可能性が高いことが明らかになりました。本研究は、2020年4月27日にアメリカ化学会の学会誌Environmental Science & Technologyに掲載されました。