2020-10-09 京都大学
高桑徹也 医学研究科教授、山田重人 同教授、今井宏彦 情報学研究科助教、原口亮 兵庫県立大学准教授らの研究グループは、本学医学研究科附属先天異常標本解析センターが所蔵しているヒト胚標本20体を用いて、ヒト心臓の心筋線維の配列を拡散テンソルMRIを用いて検討した結果、心室の壁が厚みをもち始める胚子期後半の段階において、心筋線維の配列は、成人と同様であること証明しました。
心臓は受精後3週頃には拍動を開始し生涯拍動を続けます。全身に効率よく血液を送るために心筋線維は立体的に規則的に配列される必要があります。近年、拡散テンソルMRIを用いて、心筋線維がどのように配列されているかについても検討できるようになりました。成人では心室の壁を構成する心筋線維は、層状に内側から外側にかけてゆるやかに向きを変えて配列することが示されています。胎児では、胎齢20週ころには成人と同様の心筋線維配列を示すことが知られていますが、拍動開始から20週の間の心筋線維の配列は不明でした。
今回の結果は、先天性、後天性心疾患の原因解明、診断、治療等に関わる重要な知見と考えられます。
本研究成果は、2020年9月30日に、国際学術誌「Journal of the American Heart Association」に掲載されました。