2020-11-19 国立成育医療研究センター
子どもの健康と環境に関する全国調査(以下、エコチル調査)のメディカルサポートセンターである、国立成育医療研究センター(住所:世田谷区大蔵2-10-1 理事長:五十嵐隆)の大矢幸弘、山本貴和子らの研究チームは、全国約10万人のデータを用いて妊娠中から3歳児までを追跡調査し、アレルギー疾患・症状の実態や推移、アレルギーマーチ(アレルギー疾患・症状の併存)を明らかにしました。
研究結果
即時型食物アレルギー
- 即時型食物アレルギー(原因となる食物を食べてすぐに症状が現れる)は、保護者の回答では、1歳時7.6%、2歳時6.7%、3歳時4.9%でした。
- 最も多いのが鶏卵アレルギー、次いで、牛乳、小麦アレルギーでした。
- 生後6か月までに鶏卵早期摂取開始したのは6.2%のみでした。(論文TableS2)
近年増加の消化管アレルギーについて
- 1歳半までに消化管アレルギーは1.4%の子どもで認められました。(論文Table2)
- 原因食物は鶏卵、牛乳、大豆の順番で多くなっていました。(論文Table2)
湿疹、アトピー性皮膚炎、喘息、鼻炎などの経時的変化
- 16.8%の保護者は1歳時に湿疹ありと回答しましたが、4.0%のみが医師にアトピー性皮膚炎と診断されました。本当はアトピー性皮膚炎があるはずが、過小診断されている可能性があります。
- 喘息症状の喘鳴により週に1回以上の睡眠障害がある方は年齢により1.7~2.9%に認められました。
- 2歳以上になると約1/4以上の子どもに感冒(風邪)ではない鼻炎症状がありました。
発表論文情報
著者:山本貴和子1) 2)、朴慶純3)、齋藤麻耶子1) 2)、佐藤未織1) 2)、羊利敏1) 2)、苛原誠1)2目澤秀俊1)、佐々木八十子1)、西里美奈保1)、石塚一枝1)、大矢幸弘1) 2)
所属:1)国立成育医療研究センター エコチル調査メディカルサポートセンター 2)国立成育医療研究センター アレルギーセンター 3)国立成育医療研究センター 臨床研究センター
題名:Allergy and Immunology in young children of Japan: The JECS cohort
掲載誌:World Allergy Organization Journal
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1939455120303823