微生物やその細胞壁成分の葉面散布による酒米の増収に成功

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メタノールを原料に生産した微生物製剤を出穂後1度の散布で

2020-12-11 京都大学

由里本博也 農学研究科准教授、阪井康能 同教授らの研究グループは、白鶴酒造株式会社、岡山大学と共同で、食糧と競合しない炭素資源で安価なメタノールを原料として生産した微生物(メタノール細菌)の死菌体または細胞壁成分を、出穂後のイネ地上部にスプレー散布することで、酒造好適米(酒米)の収量を増加させることに成功しました。

近年、生きたメタノール細菌の種子への接種や葉面散布による蔬菜の生産性向上は知られていましたが、イネなどの穀類の増収については、特に大規模商業圃場での成功は初めてです。

本研究グループは、まず実験室レベルで、様々なメタノール細菌とイネ品種の組合せ、使用菌株や散布時期の最適化などの栽培試験を行った後、商業圃場において、5年間、安定的に増収効果があることを示しました。さらに、死菌体や細胞壁多糖成分についても、出穂後1回の葉面散布のみで、登熟歩合向上と単位収量増加がありました。微生物生産の原料であるメタノールは、食糧資源とは競合しない天然ガスから生産され、資源循環型社会の基幹物質として注目されています。安価なメタノールを原料として微生物製剤を安価に生産可能で、1回の散布でよいことから、今後は、他のイネの品種や他の穀類の増産に向けて大規模利用が期待できます。

本研究成果は、2020年12月10日に、国際学術誌「Microbial Biotechnology」に掲載されました。

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図:本研究の概要図

詳しい研究内容≫

研究者情報
研究者名:由里本博也
研究者名:阪井康能

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生物工学一般
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