場所ごとに異なる保護色の進化過程を明らかに
2020-12-17 京都大学
山本捺由他 理学研究科博士課程学生、曽田貞滋 同教授の研究グループは、日本広域の砂地に生息する甲虫の1種、カワラハンミョウの体色が、鳥などの天敵にとって識別しにくいほど各地の砂色と似ていることを画像解析により発見しました。また野外実験により体色が砂色と似ることで実際に天敵から襲われにくくなること、遺伝子解析により砂色に似た体色が場所ごとに進化したことを明らかにしました。
さまざまな動物において天敵から逃れるために背景の色とよく似た保護色(隠蔽色)を持つことが知られています。このような保護色は自然選択によって進化したものと古くから考えられてきました。しかし、体色と背景色の一致性やその効果、進化過程を総合的に検証した研究はこれまでほとんどありませんでした。この研究は、背景色とよく一致した保護色が場所ごとに進化するという自然選択による適応が、1種の昆虫の広い生息域の中の異なる場所で繰り返し起こっていることを示した点で注目されます。
本研究成果は、2020年12月16日に、国際学術誌「Proceedings of the Royal Society B: Biological Sciences(英国王立協会紀要B)」のオンライン版に掲載されました。
図:(左)「黒い」カワラハンミョウ(伊豆大島)、(右)「白い」カワラハンミョウ(鳥取砂丘)
研究者情報
研究者名:曽田貞滋