大気汚染が新型コロナ感染症の発症、重症化をきたすメカニズムの一端を解明

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PM2.5が新型コロナウイルスの細胞侵入口を拡大する

2021-02-04 京都大学

高野裕久 地球環境学堂教授、佐川友哉 工学研究科特別研究学生らの研究グループは、PM2.5が新型コロナウイルスの細胞侵入口を拡大することを明らかにしました。

世界各地で、PM2.5等、微小な粒子(PM)に代表される大気汚染が、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染者数や重症者数を増やすことが報告されています。しかし、その理由は明らかにされていませんでした。新型コロナウイルスが体内に侵入する際には、感染する対象(ヒトや動物:宿主)の細胞にあるACE2とTMPRSS2という2つの分子が重要であり、この2つの分子が多くなるほど感染を起こしやすく、重症化しやすいと考えられます。本研究グループは、サイクロン法で大気中から採取したPMを吸い込んだマウスの肺で、その後起こる変化を多重免疫染色という方法を用いて検討しました。その結果、特に2型肺胞上皮細胞という肺の伸展維持に重要な細胞で、新型コロナウイルスの細胞内への侵入口であるACE2と、侵入を促すTMPRSS2という2つのタンパク質が増加していること、すなわち、PMが新型コロナウイルスの侵入口を広げていることが明らかになりました。

今後は、ヒトの細胞や他の動物種における研究とともに、どのような粒子や成分がCOVID-19の発症・重症化をもたらすのか、また、それを予防・軽減する薬剤にはどのようなものがあるのか、明らかにしてゆく予定です。

本研究成果は、2021年2月4日に、国際学術誌「Environmental Research」のオンライン版に掲載されました。

大気汚染が新型コロナ感染症の発症、重症化をきたすメカニズムの一端を解明
図:新型コロナウイルスの生体・細胞への侵入口

詳しい研究内容≫

研究者情
研究者名:高野裕久

医療・健康
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