妊婦禁忌とされた吐き気止めの「胎児リスク」認められず

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大規模データベースを活用した世界初の研究で、妊婦の安心に繋げる

2021-03-10 国立成育医療研究センター

国立成育医療研究センター(所在地:東京都世田谷区大蔵、理事長:五十嵐隆)の「妊娠と薬情報センター」(センター長:村島温子)と虎の門病院は、両施設が保有している妊娠中の薬剤曝露症例のデータベースを結合した13,599例を用いて、各薬剤の安全性について解析を進めてきました。
本研究では、妊婦禁忌とされている吐き気止め(ドンペリドン)を妊娠初期に服用した519例と、妊娠初期にリスクがないことが明らかな薬のみを服用したコントロール1,673例で、催奇形性(妊婦が薬を服用した時に、胎児に奇形が起こる危険性のこと)についてどれくらいの違いがでるかを比較しました。その結果、ドンペリドンが奇形発生率を上昇させないことが示されました。
ドンペリドンは日本では一般的な吐き気止めで、これまで、つわりと知らずに服用した後に、妊婦禁忌の薬剤であることを知り妊娠継続を悩む女性が少なくありませんでした。本薬剤は米国で発売されていないため疫学研究も少なく、安全性の根拠に乏しい面もありました。しかし、大規模データベースを解析する研究により、妊婦が服用しても胎児への影響は認められませでした。今回のように大規模データベースを活用した研究成果は世界で初めてであり、日本のみならず欧州やアジアを中心とした世界にとっても大きな貢献と言えます。
本研究の成果は、日本産婦人科学会の英文誌に掲載されました。

プレスリリースのポイント

  • 吐き気止め薬であるドンペリドンは動物実験で催奇形性が示されたことから、長年にわたって妊婦禁忌の薬剤とされてきました。しかし、本研究によって「胎児へのリスク」は認められませんでした。
  • ドンペリドンとコントロール薬、それぞれを服用した際の奇形発生率は、2.9%と1.7%となり、有意な差は見られませんでした。
  • つわりと知らずに本剤を服用し、妊娠継続に不安を抱えていた女性にとって、信頼性の高い情報を提供することによって安心して妊娠継続することが可能になります。
  • 英語圏で販売されていないため、妊娠中の安全性に関する疫学研究は小規模なものだけに留まっていました。今回の研究成果は、日本のみならず世界的にも大きな成果です。
  • 「妊娠と薬情報センター」と虎の門病院のような、大規模な妊娠中の薬剤曝露症例のデータベースを使った研究成果は、世界初と言えます。
掲載論文情報

【タイトル】:Pregnancy outcome after first trimester exposure to domperidone – an observational cohort study

【著者】:Kayoko Hishinuma, Ritsuko Yamane, Ikuko Yokoo,Takahide Arimoto, Kunihiko Takahashi,

Mikako Goto,Yoshiyuki Saito, Ken Nakajima, Atsuko Murashima,Masahiro Hayashi.

【掲載誌】:The Journal of Obstetrics and Gynaecology Research. 2021 Feb 25.

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