手根管症候群を検査するスマホゲームを開発 ~機械学習で親指の動きから推定、早期診断へ~

ad

2021-03-15 科学技術振興機構,東京医科歯科大学,慶應義塾大学

ポイント
  • 手のしびれや指の動きにくさを引き起こす手根管症候群の、簡便な検査方法が望まれていた。
  • 症状のない12人の被験者からスマホゲームで親指の動きのデータを取得して機械学習で疾患の有無を推定するツールを開発し、高い推定精度を得た。
  • 自宅などで簡単に検査し、専門医受診、重症化予防へつなげるシステムを目指す。

JST 戦略的創造研究推進事業において、東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科の藤田 浩二 講師、慶應義塾大学 理工学部 杉浦 裕太 准教授の研究グループは、スマートフォンアプリを使った親指の運動解析と異常検知手法を用いた機械学習を組み合わせ、手根管症候群を簡便にスクリーニングする方法を開発しました。

中高年女性に多い手根管症候群は、手首の神経が圧迫され手のしびれや指の動きにくさを引き起こす疾患です。神経伝導速度検査で正確な診断が可能ですが、高価な機器と専門的な技術が必要なため、十分に普及していません。専門知識や技術なしでも検査できる、簡便なスクリーニングツールが望まれます。

研究グループは、疾患の悪化に伴って親指の動きが悪くなることに着目し、その特徴を解析しました。親指を使ってプレイするスマートフォン用のゲームアプリを開発し、ゲーム中の親指の軌跡データを取得して、機械学習で疾患の有無を推定するプログラムを作成しました。30秒から1分程度の簡単なゲームで遊ぶだけで手根管症候群の可能性を検査できます。疾患保有者のデータの蓄積がなくても、異常検知手法を用いることで、症状のない12人の被験者のデータから効率的に推定モデルを構築しました。

開発したツールにより、自宅や保健所など、専門医のいない環境でも手根管症候群の可能性をスクリーニングできるようになります。今後、疾患が疑われる場合には専門医受診を促し、重症化予防へつなげるシステムの開発を目指します。女性に多い疾患の重症化に伴う不自由さや社会的な損失を防ぎ、女性が活躍する社会にも貢献できると考えています。

本研究成果は2021年3月14日(米国東部夏時間)、国際科学誌「JMIR mHealth and uHealth」にオンライン掲載されます。

本成果は、以下の事業・研究領域・研究課題によって得られました。

JST 戦略的創造研究推進事業 AIP加速PRISM研究

研究課題:「健康貯金のための運動誘発AI基盤構築」(JPMJCR18Y2)

研究者:杉浦 裕太(慶應義塾大学 理工学部 准教授)

JST 戦略的創造研究推進事業 さきがけ

研究領域:「人とインタラクションの未来」(研究総括:暦本 純一 東京大学 大学院情報学環 教授/株式会社ソニーコンピュータサイエンス研究所 副所長)

研究課題:「セルフリハビリテーションを促進するシステム基盤構築」(JPMJPR17J4)

研究者:杉浦 裕太(慶應義塾大学 理工学部 准教授)

詳しい資料は≫

<論文タイトル>
“A Screening Method Using Anomaly Detection on a Smartphone for Patients with Carpal Tunnel Syndrome: Diagnostic Case-Control Study”
(異常検知法を用いたスマートフォンによる手根管症候群スクリーニング)
DOI:10.2196/26320
<お問い合わせ先>

<研究に関すること>
藤田 浩二(フジタ コウジ)
東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 運動器機能形態学講座 講師

杉浦 裕太(スギウラ ユウタ)
慶應義塾大学 理工学部 情報工学科 准教授

<JSTの事業に関すること>
舘澤 博子(タテサワ ヒロコ)
科学技術振興機構 戦略研究推進部 ICTグループ

<報道担当>
科学技術振興機構 広報課
東京医科歯科大学 総務部 総務秘書課 広報係
慶應義塾 広報室

医療・健康
ad
ad
Follow
ad
タイトルとURLをコピーしました