非典型的開始コドンからの翻訳開始機構を解明~がん等の治療法開発に期待~

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2021-07-06 九州大学

九州大学生体防御医学研究所の中山 敬一 主幹教授、医学系学府博士課程3年の市原 知哉 大学院生、松本 有樹修 准教授、理化学研究所開拓研究本部の岩崎 信太郎主任研究員らの研究グループは、翻訳開始点を正確に同定する新規手法『TISCA(TIS detection by translation Complex Analysis)法』を開発し、通常のAUG開始コドンとは異なるAUG類似開始コドンからの翻訳開始機構の一部を解明しました。
タンパク質の翻訳は通常、mRNA(※1)のAUG開始コドンから始まりますが、近年、AUGとは異なるコドンから翻訳が開始する非典型的翻訳が起こることが報告されています。しかし、このようなAUG以外の開始コドンからの翻訳開始機構は不明でした。
本研究グループは、リボソームプロファイリング法(※2)を用いた翻訳開始点同定手法を改良したTISCA法を開発し、非典型的翻訳が起こる場所を網羅的に同定しました。その結果、ヒト細胞の全ての翻訳のうち、4割程度はAUG以外の開始コドンから翻訳が起こると予測されました。プロテオミクス解析により、非典型的翻訳により生じたタンパク質を検出し、また非典型的翻訳から生じるタンパク質の最初のアミノ酸は典型的翻訳と同様にメチオニンであることが分かりました。非典型的翻訳の開始には、eIF2、eIF2A、eIF2Dといった翻訳開始因子が関与することが報告されていましたが、これらの因子がどの程度関与しているかは不明でした。これらの機能を抑制した細胞の解析から、非典型的翻訳は主にeIF2に依存しているということが分かりました。
近年、非典型的翻訳はがんや精神疾患等の病気に関与することが報告されています。今後さらに非典型的翻訳の仕組みが解明されることで、がん等の病気の新規治療法確立が期待されます。
本研究成果は、2021年7月6日(火)(日本時間)に英国科学雑誌「Nucleic Acids Research」で公開されました。

参考図

翻訳開始点同定法TISCAによる翻訳開始機構の解明

詳しい資料は≫

論文情報

タイトル:

Combinatorial analysis of translation dynamics reveals eIF2 dependence of translation initiation at near-cognate codons

著者名:

Kazuya Ichihara, Akinobu Matsumoto, Hiroshi Nishida, Yuki Kito, Hideyuki Shimizu, Yuichi Shichino, Shintaro Iwasaki, Koshi Imami, Yasushi Ishihama and Keiichi I. Nakayama

掲載誌:

Nucleic Acids Research, 2021

DOI:

10.1093/nar/gkab549

研究に関するお問い合わせ先

生体防御医学研究所 主幹教授 中山 敬一(なかやま けいいち)

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