新型コロナウイルス感染による重症肺炎に対するACE2様酵素B38-CAPの治療効果を解明

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白神山地の微生物由来の酵素B38-CAPがコロナ重症化予防の可能性

2021-11-25 医薬基盤・健康・栄養研究所

この度、弊所 ワクチン・アジュバント研究センター(CVAR) 感染病態制御ワクチンプロジェクトの今井 由美子プロジェクトリーダー及び霊長類医科学研究センターの保富 康宏センター長らの研究グループは、秋田大学、東京大学医科学研究所、国際農林水産業研究センター、国立感染症研究所、香港大学、群馬大学、秋田県総合食品研究センター、ブリティッシュコロンビア大学との共同研究により、白神山地の土壌から分離した微生物の産生するアンジオテンシン変換酵2 (ACE2)※1 様酵素B38-CAPが新型コロナウイルス感染による重症肺炎に対して治療効果を発揮することを明らかにしました。

ACE2は新型コロナウイルス感染の受容体である一方で、ACE2の酵素活性は生理活性ペプチドを分解することにより心不全やSARS※2肺炎の重症化を阻止することが知られていました。

今回、ハムスターやヒトACE2発現トランスジェニックマウスを用いた新型コロナウイルスの感染実験により、B38-CAPがACE2様酵素として肺炎の重症化を阻止することが明らかになりました。B38-CAPは微生物の蛋白質生産系で短期間に大量に取得できることから、この発見は新型コロナウイルスやその他の原因による重症肺炎に対する新しい予防治療法の開発に結びつくことが期待されます。

なお、本研究成果は11月23日午後7時(日本時間)に、国際科学雑誌「Nature Communications」の電子版(https://www.nature.com/ncomms/)に掲載されました。

詳しい資料は≫

※用語解説
※1:ヒトアンジオテンシン変換酵素2(ACE2)
ヒトの血圧を上昇させる作用をもつホルモンであるアンジオテンシンⅡを分解し、血圧を下降させる役割を有する酵素。心不全の症状改善や肺の炎症抑制にも寄与する。

※2:SARS(Severe acute respiratory syndrome, 重症急性呼吸器症候群)
2002年から2003年にかけて世界的に大流行したSARSコロナウイルスによる呼吸器感染症である。一部の患者では、肺炎が重症化して致死的な呼吸不全が引き起こされた。

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