2022-06-20 京都大学
成瀬智恵 医学研究科准教授、浅野雅秀 同教授、杉山文博 筑波大学教授、宮崎龍彦 岐阜大学教授らの研究グループは、特定のタンパク質を必要な時だけ除去するSMAShデグロンシステムを用いて、マウスの内在性PD-1の分解およびがん細胞の増殖抑制に成功しました。
免疫機能のブレーキの役割を持つPD-1タンパク質の機能を阻害することで、免疫細胞によるがん細胞の傷害活性を高めるがん免疫療法は、高い治療効果が認められますが、PD-1の機能を長く阻害しすぎてしまうことが原因で自己免疫疾患を発症する例があります。そこで研究グループは、免疫細胞上のPD-1を短い時間だけ分解できるようながん治療モデルを構築しました。本研究は、必要な時だけ特定のタンパク質を分解して減らすことのできるデグロンシステムによって、マウス生体内の内在性タンパク質を機能阻害できることを示した最初の例であり、様々な生物現象や病気の治療法の研究などに応用することが期待できます。
本研究成果は、2022年6月17日に、国際学術誌「NAR Cancer」にオンライン掲載されました。
図:SMAShデグロンシステムを免疫細胞に組み込み、PD-1を薬剤(ASV/GRV)で分解できるようにしたマウスでは、移植されたがん細胞の増殖が抑制された。
研究者情報
研究者名:成瀬 智恵
研究者名:浅野 雅秀