2023-01-11 東京大学
東京大学大学院薬学系研究科蛋白構造生物学教室の坂庭賢太朗大学院生(研究当時)、藤村亜紀子博士、大戸梅治准教授、清水敏之教授、東京大学医科学研究所の柴田琢磨助教、三宅健介教授、理化学研究所重松秀樹研究員(研究当時:理化学研究所放射光科学研究センター生物系ビームライン基盤グループ研究員、現高輝度光科学研究センター構造生物学推進室研究員)、山本雅貴グループディレクター、横浜市立大学大学院生命医科学研究科の浴本亨助教、池口満徳教授らの共同研究チームは、自然免疫受容体TLR3が多量体を形成して二本鎖RNAに結合する様子をクライオ電子顕微鏡単粒子解析により可視化しました。
本研究成果は2023 年 1 月 11 日付でNature Communicationsに掲載されました。
雑誌名: Nature Communications
題目: TLR3 forms a laterally aligned multimeric complex along double-stranded RNA for efficient signal transduction
著者: Kentaro Sakaniwa, Akiko Fujimura, Takuma Shibata, Hideki Shigematsu, Toru Ekimoto, Masaki Yamamoto, Mitsunori Ikeguchi, Kensuke Miyake, Umeharu Ohto, Toshiyuki Shimizu
DOI: 10.1038/s41467-023-35844-2
論文へのリンク: https://doi.org/10.1038/s41467-023-35844-2
Toll様受容体 (TLR) は、自然免疫を活性化させる1回膜貫通タンパク質です。TLRの一つTLR3は主としてウイルスに由来する二本鎖RNA (double-stranded RNA, dsRNA) を認識します。本研究グループは、TLR3細胞外ドメインと90 塩基対の dsRNAとの複合体構造をクライオ電子顕微鏡単粒子解析により構造決定し、dsRNAに沿ってTLR3が多量体を形成している様子を明らかにしました。この多量体形成がTLR3による効率的なシグナル伝達を可能にしていることを示しました。