赤ちゃんは、善悪の振る舞いをもとに、公平性を判断することが見出されました

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2018/09/19 京都大学
板倉昭二 文学研究科教授らの研究グループは、イタリア、スウェーデンの研究グループと共同で、赤ちゃんは、良いことをする者は公平に分配することを予期しており、観察する個体の善悪の振る舞いに基づいて、公平に分配するか否かを判断することを明らかにしました。
本研究成果は、2018年9月7日に、スイスの国際学術雑誌「Frontiers in Psychology」のオンライン版に掲載されました。
研究者からのコメント
私たちの研究室では、赤ちゃんや幼児の公平性や援助行動に対する理解、またそうした行動の出現に関する研究を行っています。このような行動は向社会行動と呼ばれ、他者に利益をもたらすような行動と定義されています。ヒトの社会的生活において、極めて重要な向社会行動が発達初期に見られることを証明し、その始まりはいつなのかを明らかにするために、今後も研究を続けていきたいと考えています。

概要

赤ちゃんは、公平感に対して高い感受性を持つことが示されています。例えば、物を2人に分配するときに、公平に分配されることを期待していることがこれまでの研究でわかっています。
本研究グループは、14ヵ月児を対象に、こうした公平感の知覚が、事前の善悪の振る舞いによって影響を受けるか否かを検討しました。例えば、黄色い三角形がオレンジ色の円を助けてあげる、青い四角形がオレンジ色の円の邪魔をする場面を見せた後、それぞれの図形が、イチゴを他の図形に分配する場面を見せました。
赤ちゃんは、自分が予期しない場面を見た場合には、その事象を見る時間が長くなることが知られていますが、実験の結果、良いことをした図形が不公平に分配すると、赤ちゃんはそれを長く見ました。一方、悪いことをした図形がどのように分配しても見る時間には差は見られませんでした。つまり、赤ちゃんは、良いことをする者は、公平に分配することを予期していると思われます。本研究成果によって、赤ちゃんは、当該個体の善悪の振る舞いに基づいて、公平に分配するか否かを判断することが明らかになりました。

図:本研究のイメージ

詳しい研究内容について

書誌情報

【DOI】
https://doi.org/10.3389/fpsyg.2018.01649
【KURENAIアクセスURL】
http://hdl.handle.net/2433/234582
Luca Surian, Mika Ueno, Shoji Itakura and Marek Meristo (2018). Do Infants Attribute Moral Traits? Fourteen-Month-Olds’ Expectations of Fairness Are Affected by Agents’ Antisocial Actions. Frontiers in Psychology, 9:1649.

生物環境工学
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