ゲノム編集技術によるヘテロ接合型でのエクソン欠損霊長類の作製に成功~アルツハイマー病の病態解析、新薬開発の貢献に期待~

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2024-08-31 実中研,理化学研究所

ゲノム編集技術によるヘテロ接合型でのエクソン欠損霊長類の作製に成功~アルツハイマー病の病態解析、新薬開発の貢献に期待~

<概 要>

日本医療研究開発機構・革新的技術による脳機能ネットワークの全容解明プロジェクトの一環として、公益財団法人実中研 マーモセット医学生物学研究部の佐々木 えりか部長ら、国立研究開発法人理化学研究所(理研) 脳神経科学研究センター神経老化制御研究チームの西道 隆臣チームリーダーら、理研 生命医科学研究センター応用ゲノム解析技術研究チームの岡﨑 康司チームリーダーら、国立大学法人 広島大学統合生命科学研究科分子遺伝学研究室 山本 卓教授らは、ゲノム編集技術を用いて一部の家族性アルツハイマー病患者で認められる 9 番目のエクソン(注1)を欠失したPresenillin1 (PSEN1) 遺伝子を持つ小型霊長類コモンマーモセットの作製に成功しました。霊長類における人為的なエクソン欠損は世界で初めての報告であり、この技術開発により、特定のエクソンだけをヘテロ接合型(注2)に除去する事が可能になりました。
今後、遺伝性疾患やエクソン欠損に関連する様々な疾患研究に利用可能です。また、本研究で見出した初代動物において目的とする遺伝子改変を持つ動物を効率的に得る方法は、目的外の遺伝子改変動物を作らない、使用動物数を削減するなど実験動物の福祉において重要な 3R の原則(注3)の促進にも繋がります。さらに、本研究で作製された変異型 PSEN1 マーモセットは、ヒトの家族性アルツハイマー病患者の遺伝子型や生化学的特徴を忠実に再現していることから、今後アルツハイマー病の発生機序や病態の解明、新薬の開発などへの貢献が期待されます。

本研究成果は、2024 年 8 月 30 日(英国時間 16 時)発行の科学雑誌 LabAnimal 誌に掲載されます。

本成果は、主に以下の事業・研究領域・研究課題によって得られました。
日本医療研究開発機構(AMED)革新的技術による脳機能ネットワークの全容解明
研究課題名: 「神経変性疾患モデルマーモセット開発と新規発生工学技術の開発研究」
研究代表者: 佐々木 えりか(公益財団法人 実中研 マーモセット医学生物学研究部 部長)
研究期間: 2019 年 7 月~2024 年 3 月
研究課題名: 「アルツハイマー病マーモセットモデル作出と解析」
研究代表者: 西道 隆臣(国立研究開発法人 理化学研究所 脳神経科学研究センター チームリーダー)
研究期間: 2019 年 7 月~2024 年 3 月

<研究成果のポイント>

・ 霊長類の遺伝子の特定のエクソンを欠損させることに初めて成功した。
・ ヘテロ接合型に遺伝子を改変する技術確立により着床不全を回避する事が可能となった。
・ 作製した動物はアルツハイマー病の克服に貢献することが期待される。

詳しい資料は≫

細胞遺伝子工学
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