(Green light for a new generation of dynamic materials)
2019/7/15 オーストラリア連邦・クィーンズランド工科大学 (QUT)
・ QUT、ベルギー・ゲント大学(UGent)とドイツ・カールスルーエ工科大学(KIT)が、緑色 LED ライトの照射のオンオフによりポリマー構造を切り替えるダイナミックな材料を開発。
・ 同材料は、防虫剤に使用されるナフタレンとカップリング分子の triazolinediones(TADs)より構成され、LED 照射中は安定した固体状態を維持し、照射を停止して暗がりに置くとポリマーのネットワーク構造の化学結合が壊れて柔らかく液化する。LED の光を弱めることで機械特性の調節も可能。
・ ネットワーク構造を形成するポリマー分子鎖を切断する場合、従来では光の波長をはじめ、余剰な熱や強力な化学物質を使用するが、同材料では緑色 LED ライトの使用によりネットワーク構造を切り替える。光の照射で安定することから、同材料の名称を LSDMs(light-stabilized dynamic materials)とした。
・ これは、いわゆる非平衡的な化学システムであり、LED ライトのコンスタントなエネルギーが材料を平衡状態から押出して化学システムを結合状態に維持し、LED のオフで緩んだ低エネルギー状態に戻る。
・ 同材料のアプリケーションについて、3D プリンティング技術を扱う企業より既に問い合わせを受けている。オーバーハングやブリッジを含む複雑な 3D プリント設計では、構造を支える骨組みを別のインクでプリントし、完了後取り除く必要がある。LSDMs のインクを使用すれば、LED ライトを照射しながら 3D プリントした後に、ライトオフで足場のインクを溶かして取り除くことが可能。
・ また、生物学分野の研究において、細胞に傷をつけることなく、光の調節によりその表面サポートとしての利用が可能。
URL: https://www.qut.edu.au/science-engineering/about/news?id=147249
(関連情報)
Journal of the American Chemical Society(JACS)掲載論文(アブストラクトのみ:全文は有料)
Light-Stabilized Dynamic Materials
URL: https://pubs.acs.org/doi/10.1021/jacs.9b05092
<NEDO海外技術情報より>