シカの角の枝の相同関係と進化史を解明~角溝とダイヤグラムを用いた新たな手法~

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2020-06-04 京都大学

鮫島悠甫 理学研究科修士課程学生 (研究当時)、松岡廣繁 同助教は、「角溝」と呼ばれるシカの角表面に並行的に走る多数のスジに着目し、角の諸構造と頭蓋骨との相対的な位置関係を示す同心円状の「ダイヤグラム」を開発しました。そして、このダイヤグラム上において、複数種間で位置関係が等しいものを相同な構造と認定し、相同な枝には名称を与えた上で、分子系統樹上において、枝の進化の歴史を復元しました。
枝角はシカを特徴付ける象徴的な部位です。形態的多様性が高く、化石としてもよく産出します。そのため、化石種のシカは、主に角を用いて分類されてきたのですが、枝角の分岐構造、すなわち、各枝の相同関係を解剖学的に決定する方法がありませんでした。
本研究の結果、多くの種で相同な枝が特定され、複数の分類群で系統を反映する相同な枝が明らかになるなど、角の形態と系統分類との関係について、いくつもの重要な知見が得られました。本研究で系統進化と角の形態的特徴の関係史が描けたことで、将来的には、化石種を含めて、シカ科全体の歴史が明らかにされることが期待されます。
本研究成果は、2020年6月2日に、国際学術誌「Scientific Reports」のオンライン版に掲載されました。

図:本研究の概要図

書誌情報

【DOI】 https://doi.org/10.1038/s41598-020-64555-7
【KURENAIアクセスURL】 http://hdl.handle.net/2433/251173
Yuusuke Samejima & Hiroshige Matsuoka (2020). A new viewpoint on antlers reveals the evolutionary history of deer (Cervidae, Mammalia). Scientific Reports, 10:8910.

詳しい研究内容≫

生物化学工学
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