2020-07-16 東京大学
岐阜大学応用生物科学部の佐賀達矢特別協力研究員(岐阜県立多治見高等学校教諭を兼務)、土田浩治教授、奥野正樹特別協力研究員(当時)、東京大学大学院総合文化研究科の嶋田正和特任教授、大林夏湖特任研究員、東京都立大学理学部生命科学科の岡田泰和准教授、Georgia Southern 大学のKevin J. Loope助教らの国際研究グループは、クロスズメバチ属の女王蜂が複数のオスと交尾することで、巣内個体の遺伝的多様性を増加させ、病気による巣の崩壊を防いでいることを裏付ける知見を得ました。スズメバチ科の女王が複数のオスと交尾すること(多回交尾)には多くのコスト[注1]が考えられ、なぜ女王の多回交尾が進化したのかは40年以上前からの謎でした。今回得られた結果から、スズメバチ科では初めて女王の多回交尾が巣内の病気との関係で進化したことが示唆されました。
本研究成果は、日本時間2020年7月16日(木)に行動生態学のトップジャーナルの一つである英国の学術誌Behavioral Ecology誌のオンライン版で発表されました。本研究は、クロスズメバチ属の蜂の子を食べる食文化がある岐阜県中津川市や愛知県豊田市の蜂愛好家の方々の協力を得て実施されました。
【補足説明】
注1)女王の多回交尾のコスト…性感染症やエネルギーの損失、鳥などの捕食者からの被食リスクの増大。
論文情報
Tatsuya Saga, Masaki Okuno, Kevin J. Loope, Koji Tsuchida, Kako Ohbayashi, Masakazu Shimada, Yasukazu Okada, “Polyandry and paternity affect disease resistance in eusocial wasps,” Behavioral Ecology: 2020年7月16日, doi:10.1093/beheco/araa062.
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