新型コロナウイルス感染症の重症化に関わる遺伝子多型を同定
2021-07-30 京都大学
小川誠司 教授らの研究グループ(コロナ制圧タスクフォース)は、世界最大の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のゲノムワイド関連解析にアジア最大のグループとして貢献し、COVID-19の重症化に関わる遺伝子多型を同定しました。
2020年5月に異分野の専門家により立ち上げられた本研究グループは、国内での多施設共同研究を実施するのみならず、国際共同研究グループCOVID-19 Host Genetics Initiativeによる世界最大のCOVID-19のゲノムワイド関連解析にも参加し、研究を進めました。
本国際共同研究では、約5万人のCOVID-19患者と約200万人の対照者を対象に解析が行われ、COVID-19の重症化に関わる遺伝子多型(バリアント)の13箇所を同定しましたが、それらのうち2個は、ヨーロッパ人集団での頻度よりも東アジア人集団および南アジア人集団での頻度が高く、多様な集団を対象とした国際共同研究の重要性があらためて認識されました。なお、これらの遺伝子多型の中には、細胞の増殖機能に関わるものや免疫機能に関係するものが多く含まれており、COVID-19の生物学的な特性を知るだけでなく、COVID-19の研究を進める上で、感染された方の検体を用いてゲノム研究を行う重要性があらためて示されました。
今後も本研究グループは、新型コロナウイルスと闘う患者、診療の最前線に立つ医療従事者と共に、新型コロナウイルスの克服に向けて、国内外で活動を続けていきます。
本研究成果は、2021年7月8日に、国際学術誌「Nature」のオンライン版に掲載されました。
図:国際共同研究を通じた新型コロナウイルス感染重症化因子の同定への貢献
研究者情報
研究者名:小川誠司