次世代治療薬の開発に向けた近接依存性ビオチン化を用いたタンパク質間相互作用の解析手法
2022-03-10 愛媛大学
愛媛大学プロテオサイエンスセンター 無細胞生命科学部門の山中聡士特定研究員の研究グループは、タンパク質分解誘導剤の開発や臨床応用において極めて重要とされている、E3ユビキチンリガーゼに相互作用し分解誘導されるタンパク質の解析に資する、タンパク質分解誘導剤依存的にE3ユビキチンリガーゼに相互作用するタンパク質を網羅的に探索するための評価系を開発しました。
概要
サリドマイド誘導体(Immunomodulatory drugs/IMiDs)をはじめとする「分子糊」型のタンパク質分解誘導剤は、タンパク質分解酵素であるE3 ユビキチンリガーゼに相互作用し、本来の基質ではない「ネオ基質」を分解することで薬効および副作用を発揮することが知られています。疾患に関与するタンパク質を徹底的に細胞内から除去するという強力な薬効から、タンパク質分解誘導剤は「次世代の治療薬」と考えられており、世界中で精力的に研究が進められています。さらに現在では、IMiDsのようなE3バインダーと標的タンパク質へ結合する標的バインダーを繋ぎ合わせたキメラ化合物であるPROTACs(Proteolysis targeting chimeras)型のタンパク質分解誘導剤へと応用されています。これまでに治療薬の標的にすることが困難であったタンパク質を標的にすることが可能であり、大きな期待が持たれています。
これらの背景から、E3ユビキチンリガーゼに相互作用し分解誘導されるタンパク質を解析することは、タンパク質分解誘導剤の開発や臨床応用において極めて重要です。本研究では、タンパク質分解誘導剤依存的にE3ユビキチンリガーゼに相互作用するタンパク質を網羅的に探索するための評価系を開発しました。
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愛媛大学プロテオサイエンスセンター 無細胞生命科学部門 特定研究員 山中 聡士