生物化学工学

タンパク質の新たな分解システム~ファイロジェンによる葉化誘導メカニズム解明で発見!~ 生物化学工学

タンパク質の新たな分解システム~ファイロジェンによる葉化誘導メカニズム解明で発見!~

ファイトプラズマ の葉化誘導因子ファイロジェンが、植物に花を咲かせる因子 (MADS転写因子)をこれまでにないしくみで分解することを発見しました。ファイロジェンは、MADS転写因子と輸送タンパク質と三者複合体を形成することで、MADS転写因子をタンパク質分解装置に輸送し分解していました。
オートファジーを介した細胞老化の制御メカニズムを解明~個体の老化や腎臓病の進展制御による健康寿命の延長に期待~ 生物化学工学

オートファジーを介した細胞老化の制御メカニズムを解明~個体の老化や腎臓病の進展制御による健康寿命の延長に期待~

転写因子MondoAがRubiconを抑制することでオートファジー活性を維持し、細胞の老化を遅らせることを明らかにしました。MondoAは、抗酸化酵素であるPRDX3(ペルオキシレドキシン3)を保ちミトコンドリアを正常に機能させることによっても、細胞の老化を遅延させることを示しました。マウスやヒトの腎臓を用いた解析で、老化や急性腎障害後の慢性腎臓病進展の病態にMondoAが関与していることも明らかになりました。
流⽔産卵性ナガレヒキガエルと⽌⽔産卵性アズマヒキガエルの個体発⽣比較 生物化学工学

流⽔産卵性ナガレヒキガエルと⽌⽔産卵性アズマヒキガエルの個体発⽣比較

山間渓流中に産卵する日本固有種ナガレヒキガエル(Bufo torrenticola)の詳細な発生段階図表を作成しました。世界で標準とされているカエルの発生段階図表を参照して作成することで他のカエルと比較しやすい形にしました。さらに、止水中に産卵する近縁種のアズマヒキガエル(Bufo japonicus formosus)の発生との比較や、止水環境で飼育したナガレヒキガエルの発生との比較を通して、ナガレヒキガエルの渓流適応の実態解明を目指しました。
ad
祖先の背中の肥大化が昆虫の翅を生んだ~150年来の昆虫翅進化の謎に迫る~ 生物化学工学

祖先の背中の肥大化が昆虫の翅を生んだ~150年来の昆虫翅進化の謎に迫る~

昆虫には翅進化の中間段階を示す決定的な化石が見つかっておらず、祖先的な発生様式を示すフタホシコオロギの翅づくりの過程を調べることで、この状況を打破することを目指しました。ゲノム編集や外科手術などの手法を駆使することによって、側板ではなく背板の細胞がコオロギの翅づくりに主導的な役割を果たすことを明らかにしました。さらに、背板を爆発的に肥大化させる細胞の成長シグナルを特定することに成功しました。
細胞間接着の新たな制御機構の発見~力学刺激に依存したZO-1タンパク質の液-液相分離によるリモデリング~ 生物化学工学

細胞間接着の新たな制御機構の発見~力学刺激に依存したZO-1タンパク質の液-液相分離によるリモデリング~

マウス胚と動物培養細胞(MDCK細胞とA6細胞)を用い、ZO-1が細胞質内で顆粒を形成し、密着結合部位との間で局在を変化させることにより、密着結合の形成と細胞間接着の強度を制御していることを発見しました。さらに、このZO-1の細胞質顆粒が液-液相分離により形成されること、その制御に細胞の力学的な環境が関わっていることを明らかにしました。
イネ属植物の花粉管の発芽伸長能力に種間差異を生じるジベレリン活性化酵素の多様性 生物化学工学

イネ属植物の花粉管の発芽伸長能力に種間差異を生じるジベレリン活性化酵素の多様性

植物ホルモンのひとつであるジベレリン(GA)は、植物体内で活性をもつ複数の活性型GAが存在し、ジベレリン3酸化酵素(GA3ox)の働きにより前駆体GAから合成されます。イネは2種類のGA3ox(OsGA3ox1、OsGA3ox2)を持ちますが、葯のみに遺伝子発現するOsGA3ox1についてはその生物学的な意味はほとんどわかっていませんでした。osga3ox1変異体の解析から、OsGA3ox1が葯(花粉)で活性型GAのうちGA4だけでなく非常に生物活性が高いGA7を多量に合成し、これが発達後期の花粉のデンプン蓄積と受粉後の花粉管の発芽伸長に働くことが示されました。X線結晶構造解析により、このようなOsGA3ox2とは異なるOsGA3ox1のGA7合成能の高さは、GA3oxを含む酵素ファミリーで高度に保存された活性中心のチロシン(Y)がOsGA3ox1でフェニルアラニン(F型GA3ox1)に置換していることが原因である、とわかりました。
スプレーで植物を改変~簡便な非遺伝子組換え植物改変法の開発~ 生物化学工学

スプレーで植物を改変~簡便な非遺伝子組換え植物改変法の開発~

「細胞透過性ペプチド(CPP)」を基盤としたナノサイズの担体を用いてスプレーで噴霧することで、核酸を植物へ導入することに成功しました。この手法により、植物細胞内または葉緑体内で、導入した外来DNAから一過的にそのタンパク質を産生させ、また、siRNAの導入により植物細胞内で目的タンパク質の発現を抑制することに成功しました。
情動行動を規定する新たなイオンチャネルの特定~忌避学習を制御する細胞内シグナル伝達経路の解明~ 生物化学工学

情動行動を規定する新たなイオンチャネルの特定~忌避学習を制御する細胞内シグナル伝達経路の解明~

不快情動のひとつである忌避学習に関わる分子メカニズムを明らかにしました。マウス脳の側坐核において、忌避刺激が電位依存性カリウムチャネルKCNQ2のリン酸化レベルを亢進させることを明らかにしました。忌避刺激によるKCNQ2リン酸化は、ムスカリンM1受容体( M1R)やPKCの活性化を必要とすることが分かりました。側坐核でのKCNQ2欠損は忌避学習を促進させることが明らかになりました。
トンボの幼虫から成虫への変態に必須な遺伝子群の同定に成功 生物化学工学

トンボの幼虫から成虫への変態に必須な遺伝子群の同定に成功

トンボが幼虫から成虫への変態に必要な遺伝子群を解析し、重要な3種類の転写因子を同定した。その中の一つで他の昆虫の「さなぎ」の形質を決定する転写因子が、さなぎの時期を持たないトンボでは、幼虫の形質を作り出す遺伝子と成虫の形質を作り出す遺伝子の両方をコントロールしていることを発見した。これは、昆虫の多様性を担う変態を解明する重要な成果である。
細菌感染で脳機能が変化する仕組みを解明~ミクログリアは大脳の神経活動を低下させる~ 生物化学工学

細菌感染で脳機能が変化する仕組みを解明~ミクログリアは大脳の神経活動を低下させる~

脳内の免疫細胞であるミクログリアが大脳皮質前頭前野の神経活動を制御することを発見し、そのメカニズムを初めて明らかにしました。
昆虫ホルモンの生合成を撹乱する蚊の発育阻害剤の発見~環境に優しい農薬の開発に向けて~ 生物化学工学

昆虫ホルモンの生合成を撹乱する蚊の発育阻害剤の発見~環境に優しい農薬の開発に向けて~

既存の殺蚊剤に対して抵抗性を示す蚊の出現が確認されています。そのため、単一の薬剤に過剰に頼るのではなく、作用機序の異なる複数の薬剤をローテーションして使用することで、薬剤抵抗性の出現を回避する戦略が不可欠です。デング熱、黄熱、ジカウイルス感染症を媒介するネッタイシマカ由来のNoppera-boの活性を阻害する薬剤を探索しました。その結果、植物の二次代謝物としてよく知られるフラボノイド化合物であるデスメチルグリシテインが極めて有効であることを発見し、さらにX線結晶構造解析注2)によって分子レベルでの作用機序の解明に成功しました。
土壌から吸収する? それとも 微生物からもらう?~硝酸イオン輸送からひもとくマメ科植物の窒素栄養獲得戦略~ 生物化学工学

土壌から吸収する? それとも 微生物からもらう?~硝酸イオン輸送からひもとくマメ科植物の窒素栄養獲得戦略~

マメ科のモデル植物ミヤコグサを用い、硝酸イオン輸送体の一つであるLjNRT2.1タンパク質が、硝酸イオンの量に応じた根粒共生の抑制制御を仲介する機能を持つことを明らかにしました。窒素栄養の獲得源を土壌から根粒にシフトする、根粒共生を行うマメ科植物ならではの生存戦略を示唆しています。環境に応じて器官形成や栄養の獲得様式を変化させるという植物の巧妙な生存戦略の一端が明らかになりました。
ad
タイトルとURLをコピーしました