シャジクモの全ゲノム解読により陸上植物進化の起源を探る

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2018/07/31 国立遺伝学研究所

The Chara genome: secondary complexity and implications for plant terrestrialization

Tomoaki Nishiyama, Hidetoshi Sakayama, 他, 計60名

Cell Volume 174, ISSUE 2, P448-464.e24, July 12, 2018 DOI:10.1016/j.cell.2018.06.033

 

陸上植物はシャジクモ藻類の仲間から進化しました。その中でシャジクモ類は最も複雑な体の構造を持つものです。本研究グループは,シャジクモのゲノム(全遺伝子)概要配列を解読し,他の藻類および陸上植物のゲノムと比較することにより,陸上植物が成立する過程においてどのような新規性があったのか,また共通祖先からどのような遺伝子が引き継がれているのかを明らかにしました。

シャジクモの概要ゲノムは,植物の陸上での生活に重要と考えられる多くの陸上植物的な特徴がシャジクモ藻類にあること,これにより,最古の陸上植物ができる以前にそういった陸上植物的な特徴が獲得されたことを明らかにしました。また,シャジクモと陸上植物の祖先が分岐してから陸上植物が成立するまでに獲得された遺伝子がどれであるか推定できるようになりました。このシャジクモの概要ゲノムは,さらに多くの陸上植物に見られる遺伝子の進化的解析において参照されるとともに,シャジクモでの進化遺伝学的解析の基盤になると期待されます。

本研究成果は,2018年7月12日午前11時(米国東部標準時間)に米国学術雑誌「Cell」のオンライン版に掲載されるとともに,本研究に関する画像が「Cell」の表紙を飾りました。また,シャジクモのゲノム配列はDDBJより公開されました。

本研究は,以下の科学研究費補助金および各国の助成の支援を受けて実施されました。
特定領域研究ゲノム4領域「比較ゲノム」「基盤ゲノム」,新学術領域「ゲノム支援」,基盤研究(B), 若手研究(B), 基盤研究(C)
17020008,20017013, 22128008, 24370095 15H04413; 22770083, 24570100, 15K07185 221S0002

国立遺伝学研究所は、シャジクモのゲノム解析にあたり、塩基配列解析を担当しました。

Figure1

図1: ゲノム解析に用いたシャジクモS276株。
(左)主軸に枝が放射状に輪生し,「車軸」のように見える葉状体。スケールバーは1 cm。(右)輪生枝の途中に形成される生殖器官。上が生卵器,下が造精器。スケールバーは100 µm。(神戸大学 坂山英俊 提供)

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図2:陸上植物,シャジクモ藻類の系統関係を表した図
系統樹でゲノム配列が公表されている生物を含む枝は太線で示してある。今回ゲノム配列を公表したシャジクモはフラグモプラストを作る現生生物の中で陸上植物と最も初期に分岐した生物である。

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図3:Cell表紙画像
https://www.cell.com/cms/attachment/2119480371/2094205305/cover.tif.jpg

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