乳児期における父親の育児への関わりが多いことが、 子どもが16歳時点でのメンタルヘルスの不調を予防する可能性

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2023-01-12 成育医療研究センター

 

国立成育医療研究センター研究所 社会医学研究部の加藤承彦室長らの研究グループは、2001年に生まれた子どもの家庭を対象にして、乳児期における父親の育児への関わりが、子どもが16歳時点でのメンタルヘルスの不調とどのように関連しているのかを分析しました。

分析には、厚生労働省および文部科学省が実施している21世紀出生児縦断調査の2001年コホートを用いました。分析対象は、2001年に生まれた日本全国の18,510人の子どもがいる世帯で、父親の育児への関わり(「おむつを取り換える」「入浴させる」など)の程度を最も少ない群から多い群まで4群に分けて、それぞれの群における16歳時点での子どものメンタルヘルスの状況を比較しました。その結果、最も関わりが少ない群と比較して、最も多い群では、メンタルヘルスの不調のリスクが10%下がっていました。本研究の結果、乳児期における父親の育児への関わりが多いことが、長期的に子どものメンタルヘルスの不調を予防する可能性が示唆されました。

16歳時点での子どものメンタルヘルス不調リスク

プレスリリースのポイント

  • 本研究において、乳児期の父親の育児への関わり多いことが、16歳時点でのメンタルヘルス不調の予防に繫がる可能性が示唆されました。
  • 日本を含むアジア圏では、こういった研究は初です。

背景・目的

  • 思春期の子どものメンタルヘルスの問題は先進諸国に共通する大きな課題になっています。
  • 日本においても、コロナ禍における子どものメンタルヘルスの不調が懸念されています。当センターが2021年12月に実施した調査では、小学5~6年生の9%〜13%、中学生の13%〜22%に、中等度以上の抑うつ症状がみられました。
  • 親子関係は思春期の子どものメンタルヘルスに大きく影響します。
  • 海外の先進国(イギリス)では、幼少期の父親の育児への関わりが、子どものメンタルヘルスに与える長期的な影響の研究がいくつか実施されていますが、結果は一致していません。
  • アジア圏では、このような研究はこれまで実施されていませんでした。

今後の展望・発表者のコメント

  • 性別役割分業が一般的だった日本においても、父親の育児休業取得推進の義務化など父親が積極的に育児に関わることが推奨される社会になりつつあります。
  • 本研究から得られた知見は、そういった日本社会の変化が子どもの成長にとって好ましい影響をもたらす可能性を示唆しています。
  • 今回用いたデータは、2001年時点での父親の育児への関わりであり、今後より新しいデータを用いて検証する必要があります。
発表論文情報

論文タイトル:The long-term association between paternal involvement in infant care and children’s psychological well-being at age 16 years: An analysis of the Japanese Longitudinal Survey of Newborns in the 21st Century 2001 cohort

雑誌名:Journal of Affective Disorders
著者:Kato, T., Kachi, Y., Ochi, M., Nagayoshi, M., Dhungel, B., Kondo, T., & Takehara, K.
DOI:https://doi.org/10.1016/j.jad.2022.12.075

本件に関する取材連絡先
国立成育医療研究センター 企画戦略局 広報企画室
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