神経炎症時の活性化グリア細胞の産生機構の解明~神経変性疾患の創薬標的の可能性~

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2023-08-08 京都大学

小林亜希子 医学研究科特定准教授、吉原亨 同特定講師、萩原正敏 同教授、Andres Canela 白眉センター特定准教授らの研究グループは、神経炎症でみられる活性化アストロサイトの産生機構を明らかにし、グリア標的薬アルジャーノン2の経口投与によりアルツハイマー病モデルマウスの神経脱落が抑制され、認知機能が改善されることを見出しました。本研究結果は、アルツハイマー病などの神経変性疾患に共通の神経炎症時にみられる活性化グリア細胞を標的とすることにより、神経炎症を呈する幅広い疾患に対する創薬可能性を示唆しています。

本研究成果は、2023年8月7日に、国際学術誌「Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America」にオンライン掲載されました。

文章を入れてください神経変性疾患などで引き起こされている神経炎症では、ミクログリアが活性化しており、過剰な炎症性サイトカインが放出されています(①)。そのため本来神経細胞を支える機能をもつアストロサイトが活性化され、神経細胞死を引き起こす因子が放出されます(②)。その結果、神経の変性がおこり、認知機能低下などに至ります(③)。
グリア機能制御薬アルジャーノン2投与によりNrf2転写因子が安定化され(④)、活性化アストロサイト遺伝子産生が抑制されます(⑤)。その結果、神経細胞の生存・認知機能の改善へつながります(⑥)。

研究者のコメント

「私たちの研究室では従来の薬剤治療が困難であった疾患に対する治療薬候補物質を研究開発しています。今回の研究成果は、当初ダウン症治療を目的に神経新生を促す化合物探索として始めた研究ですが、研究を進めるうちにアルジャーノン2は大人の脳組織ではグリア細胞に働きかけて神経炎症抑制を通して神経保護作用をもつということを見つけることができました。この基礎研究がダウン症や神経変性疾患などの治療につながることをめざして今後も続けていきたいと思います。」

詳しい研究内容について

神経炎症時の活性化グリア細胞の産生機構の解明―神経変性疾患の創薬標的の可能性

研究者情報

研究者名:小林 亜希子
研究者名:吉原 亨
研究者名:萩原 正敏
研究者名:CANELA Andres

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