国際宇宙ステーションの「きぼう」日本実験棟でマウス凍結胚を解凍し、無重力で胚を発生させることに成功~哺乳類の初期発生における重力の影響が明らかに~

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2023-10-30 山梨大学,理化学研究所

山梨大学発生工学研究センターの若山清香助教、宇宙航空研究開発機構(JAXA)、日本宇宙フォーラム、理化学研究所バイオリソース研究センター(BRC)、明治大学農学部などからなる研究グループは、凍結したマウス 2 細胞期胚を国際宇宙ステーション(ISS)へ打ち上げ、宇宙飛行士が微小重力下で胚を解凍し、重力が無い宇宙でも哺乳類の胚が正常に発生し分化出来るのか調べました。マウスの胚の大きさは 0.08mm しかなく、解凍や培養には高度な技術が必要です。そこで本研究では最初に、ISS内で容易に胚操作出来るデバイスを開発することで、宇宙飛行士による胚の宇宙実験を可能にしました。このデバイスにより ISS で解凍された胚は、微小重力および人工1G区に分け 4 日間宇宙で培養されました。ほぼ同時に筑波宇宙センターで地上1G 実験を実施しました。その結果、マウス 2 細胞期胚は微小重力でも胚盤胞期まで発生でき、胎児側と胎盤側の細胞へ正しく分化出来ることが明らかとなりましたが、一部の胚は胎児側の細胞が 2 か所に分かれており、一卵性双生児が産まれる可能性も示されました。
本成果は Cell の姉妹誌 iScience にオンライン掲載(月日付け:日本時間 10 月 28 日(土)午前 0 時)されました。
タイトル:Effect of microgravity on mammalian embryo development evaluated at the International Space Station

【本研究のポイント】
○哺乳類の胚は微小重力でも胚盤胞まで発育可能 ○胚の最初の運命決定(胎児と胎盤への分化)に重力は影響しない
○わずかだが一卵性双生児の割合が高まる可能性が示された
○哺乳類が宇宙でも繁栄出来る可能性を示した初めての論文

詳しい資料は≫

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細胞遺伝子工学
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