19億年前の微生物もリンを含む細胞膜を使っていた~超高解像度の新手法によって初期生命の細胞膜の可視化に成功!~

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2024-09-24 東北大学

大学院理学研究科 地学専攻
助教 石田章純(いしだあきずみ)

【発表のポイント】

  • 生命進化の鍵となる「細胞膜や代謝」の起源を解明するため、約19億年前の微生物化石(=微化石)を用いた新しい分析手法を開発しました。
  • 特殊なガラス板に微化石を固定することで、光学顕微鏡と電子顕微鏡での観察を統合し、微化石内部の微量元素であるリンとモリブデンの高精度なイメージングを可能にしました。
  • 19億年前の微生物が現代の生物と同様にリン脂質による細胞膜を形成していたことを実証し、モリブデンに関連する代謝の痕跡も確認しました。
  • 本新手法は、初期地球の生命進化研究において新たな洞察を提供し、さらなる研究の基盤となることが期待されます。

【概要】

太古の生物が、現在の生物と同じ元素を使って生息していたのかどうかはよくわかっていません。

東北大学大学院理学研究科の石田章純助教をはじめとする研究チームは、約19億年前の微生物の化石(微化石)を用いた新しい分析手法を開発しました。この手法は、従来困難だった微化石内部の微量元素を高精度かつ高解像度で検出するもので、特にリン脂質に由来する細胞膜中のリンと、代謝の痕跡である酵素に関連するモリブデンの検出に世界で初めて成功しました。これにより、約19億年前の微生物にも、現代のバクテリアと同様の細胞膜と代謝をすでに獲得していた直接的な証拠を示すことができました。

本研究成果は、生命の進化過程を解明する上で重要な手がかりを提供します。将来的には、この手法をより古い地質時代の試料に適用することで、初期地球の生命進化の研究に大きな進展をもたらすことが期待されます。

本成果は9月20日18時(日本時間)、科学誌Scientific Reports に掲載されました。

19億年前の微生物もリンを含む細胞膜を使っていた~超高解像度の新手法によって初期生命の細胞膜の可視化に成功!~

図1. 本研究の微生物化石試料と準備法

【論文情報】

タイトル:Ultrahigh-resolution imaging of biogenic phosphorus and molybdenum in paleoproterozoic gunflint microfossils
著者: Kohei Sasaki, Akizumi Ishida*, Takeshi Kakegawa, Naoto Takahata, Yuji Sano
*責任著者:東北大学大学院理学研究科 助教 石田章純
掲載誌:Scientific Reports
DOI:10.1038/s41598-024-72191-8

詳細(プレスリリース本文)

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学大学院理学研究科地学専攻
助教 石田 章純(いしだ あきずみ)

(報道に関すること)
東北大学大学院理学研究科
広報・アウトリーチ支援室

生物化学工学
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