医師の負担軽減と胃がんの早期発見に貢献
2019-09-09 新エネルギー・産業技術総合開発機構
NEDOの「Connected Industries推進のための協調領域データ共有・AIシステム開発促進事業」において、(株)AIメディカルサービスは人工知能(AI)を用いた胃がん内視鏡画像読影支援システムの開発を始めます。
本事業では、協力医療機関から収集した内視鏡画像を学習訓練データ(教師データ)として活用したAIを構築し、遠隔診断に利用可能なクラウド型プラットフォームとして内視鏡画像読影支援システムの開発を行い、国内外で実証実験を展開することにより、医療現場での実用化を目指します。
胃がん内視鏡検診では医師の目視による2次読影が実施されていますが、近年の内視鏡検査数の増加に伴う検査画像数の膨大化により、現場の医師の負担が増大し、早期のがんなど判定の難しい病変の見落としリスクが懸念されています。
本事業を通じて、AIによる胃がん内視鏡検診支援システムの導入を図ることで、医師の負担軽減と胃がんの早期発見に貢献します。
1.概要
近年の医療技術の進歩により、早期がんの生存率は改善傾向であり、検診による早期発見の重要性が増し、胃がん検診における内視鏡検査数は飛躍的に増えています。しかし、胃がん内視鏡検診では撮影した画像を医師が目視で再確認する2次読影が必要であり、1症例ごとの内視鏡画像が数十枚にもなることから、現場の医師の大きな負担となっています。判定が難しい早期がんの病変の発見には、ある程度時間をかけて慎重に確認する必要がありますが、胃がん内視鏡検査数の増加に伴う検査画像数の膨大化により、さらなる医師の負担増加と病変見落としのリスクが懸念されています。
今般、国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の業界横断型人工知能(AI)システムの開発などを支援する「Connected Industries推進のための協調領域データ共有・AIシステム開発促進事業」※1において、助成先である株式会社AIメディカルサービスは、膨大化する胃がん内視鏡検診の2次読影から医師の負担軽減を目指す、人工知能(AI)を用いた胃がん内視鏡画像読影支援システムの開発を開始します。
本事業では、複数の協力医療機関から胃がん内視鏡画像を収集し、AIの判断基準となる教師データ※2を作成したうえで、そのデータを用いて病変部位を自動判定するAIを搭載した、医師の2次読影の負担を軽減する胃がん内視鏡画像読影支援システムの開発を行います。具体的には、公益財団法人がん研究会、学校法人聖マリアンナ医科大学、学校法人日本医科大学を中心に、川崎市内の複数の病院からデータ収集を行うとともに、段階的に日本国内の医療施設との提携を拡大しながらデータ収集体制を構築します。また、この胃がん内視鏡画像読影支援システムは、遠隔診断にも利用可能なクラウド型プラットフォームとして開発を行います。同システムを用いて協力医療機関とともに国内外で実証実験を展開することで検診精度と使いやすさを向上させ、医療現場での実用化を目指します。
本事業を通じて、AIによる胃がん内視鏡検診支援システムの導入を図ることで、医師の負担軽減と胃がんの早期発見に貢献します。
2.採択テーマと助成事業者
- 事業名:
- Connected Industries推進のための協調領域データ共有・AIシステム開発促進事業/業界横断 型AIシステムの開発/人工知能を用いた胃がん内視鏡画像読影支援システムの構築と海外遠隔診断への展開
- 助成先:
- 株式会社AIメディカルサービス
- 事業期間:
- 2019年度から最長2021年度
【注釈】
- ※1 Connected Industries推進のための協調領域データ共有・AIシステム開発促進事業
- Connected Industries重点5分野を中心に、海外や他分野に横展開可能で、スタートアップなどの新規プレーヤーに開放的なデータエコシステムの構築に資する業界横断型AIシステムの開発と業界共用データ基盤の開発を通じて、AIシステムとデータプラットフォームが一体となったAI・データエコシステムの成功事例を創出し、国内企業にとどまらない幅広いデータ連携による価値の創出を促進します。
- ※2 教師データ
- 入力された情報に対して適切な回答を出力できるよう、人工知能(AI)を訓練するためのデータ。一般的には膨大な量のデータが必要とされる。
3.問い合わせ先
(本ニュースリリースの内容についての問い合わせ先)
NEDO IoT推進部 担当:岩崎、大宮、工藤
(その他NEDO事業についての一般的な問い合わせ先)
NEDO 広報部 担当:中里、坂本、佐藤