成人期10㎏以上の体重増加と関連する生活習慣および生活習慣病を明らかに

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岩手県地域住民コホート3万2千人での検討

2021-05-20 岩手医科大学いわて東北メディカル・メガバンク機構,岩手医科大学内科学講座糖尿病・代謝・内分泌内科分野,日本医療研究開発機構

発表のポイント
  • 岩手医科大学いわて東北メディカル・メガバンク機構(IMM)が実施した岩手県地域住民コホートに参加いただいた32,675人について、20歳以降の成人期の10㎏以上の体重増加と、それに関連する生活習慣および生活習慣病を解析しました。
  • 20歳以降の成人期の体重増加は過去の喫煙歴、9時間以上の長い睡眠時間、朝食を抜くこと、日常生活での活動量が少ないことと関連していること、成人期に体重が増加した群では、ウエスト周囲長が大きく、高血圧、脂質異常症、高尿酸血症、メタボリックシンドロームの有病率が高いことを明らかにしました。
  • 規則正しい運動や食事、適切な睡眠時間などの生活習慣に留意し、成人期の体重増加を予防することが生活習慣病の予防につながる可能性を示しました。
概要

岩手医科大学いわて東北メディカル・メガバンク機構(IMM、機構長 佐々木真理)*1と、岩手医科大学内科学講座糖尿病・代謝・内分泌内科分野の武部典子講師と石垣泰教授を中心とした研究チームは、IMMが実施した岩手県地域住民コホート調査のデータを用いて、20歳以降の成人期の10㎏以上の体重増加と、それに関連する生活習慣および生活習慣病を解析し、成人期の体重増加を予防することの重要性を示しました。

本研究成果は、国際科学雑誌Diabetes, Metabolic Syndrome and Obesity: Targets and Therapyに2021年5月20日付(オンライン公開)で掲載されます。

研究の背景

これまでの研究で、日本人などの東アジア民族は欧米人に比べ軽度の肥満でも内臓脂肪が蓄積しやすく、代謝異常を合併しやすいこと事が報告されています。また、20歳まではやせ型体型であっても、成人後に体重が増加することは現在の体重とは独立してメタボリックシンドローム、高血圧などと関連することも報告されています。

厚生労働省の平成22年(2010)「国民健康・栄養調査」によれば、岩手県の肥満者(BMI≧25kg/m2)の割合は38.7%と全国で第7位であり、肥満を減らすためにその原因を明らかにすることが重要な課題となっていました。

成人期の体重増加に関連するリスク因子を理解することは、それに連なる生活習慣病の予防の一助となる事が期待できます。しかしながら、アジア人における成人期の体重増加とそれに関連する生活習慣関連因子についての詳細な検討はまだありませんでした。

研究の成果

今回の研究では、IMMが実施した岩手県地域住民コホート調査に参加いただいた32,675人のデータを用いて20歳以降の成人期の体重増加と生活習慣病および生活習慣との関連について調査しました。20歳時以降の体重増加が10kg以上の群3601人(男性1709人/女性1892人)を体重増加群とし、この群と、性、年齢、現在の体格指数を傾向スコア(Propensity Score)でマッチさせた20歳以降の体重増加が10kg未満の群3601名(男性1636名/女性1965名)を体重非増加群としました。

両群を比較検討した結果、現在の体格指数が同程度であっても、体重増加群のウエスト周囲長は非体重増加群よりも大きいことがわかりました。また、体重増加群では、非増加群に比較して高血圧症、脂質異常症、高尿酸血症の有病率が高く、メタボリックシンドロームに該当する例が多いこともわかりました(表1)。

成人期体重増加に関連する生活習慣関連因子を、性、年齢のほか、肥満リスクと考えられる因子で解析すると、喫煙歴(オッズ比※21.163)、朝食の欠食(同1.252)、睡眠時間9時間以上(同1.613対5時間以上7時間未満)が成人期肥満との関連が高いことがわかりました。それとは反対に、一日1時間以上の歩行時間は成人期肥満との関連が低いことがわかりました(図1)。

次に、成人期体重増加と生活習慣病との関連について、性、年齢のほか、疾病リスクと考えられる因子で調整し解析を行いました(図2)。その結果、成人期体重増加は、高血圧症(オッズ比1.260)、脂質異常症(同1.341)、高尿酸血症(同1.307)、メタボリックシンドローム(同1.460)と有意な関連があることがわかりました。

まとめと展望

20歳以降の成人期の体重増加は過去の喫煙歴、9時間以上の長い睡眠時間、朝食の欠食、日常生活での活動量が少ないことと関連していました。また成人期に体重が増加した群では、ウエスト周囲長が大きく、高血圧、脂質異常症、高尿酸血症、メタボリックシンドロームの有病率が高いことがわかりました。規則正しい運動や食事、適切な睡眠時間などの生活習慣に留意し、成人期に体重を増加させないことが、生活習慣病予防の一助となる事が期待されます。

参考

本研究は、日本医療研究開発機構(AMED)による東北メディカル・メガバンク計画のもと、IMMおよび東北大学東北メディカル・メガバンク機構(ToMMo)によって行われています。

用語解説
*1 岩手医科大学いわて東北メディカル・メガバンク機構(IMM)
東日本大震災からの復興支援事業である東北メディカル・メガバンク計画の一環として、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED、理事長 三島良直)の支援の下、東北大学東北メディカル・メガバンク機構(ToMMo、機構長 山本雅之)とともに、岩手県・宮城県の被災地を中心にした大規模健康調査とゲノムコホート研究を行い、地域医療の復興に貢献するとともに、個別化医療・個別化予防などの次世代医療体制の構築を目指しています。
*2 オッズ比
統計学上の用語で、患者-対照調査(後ろ向き研究)で、ある出来事の起こりやすさを2つの群で比較して示す統計学的な尺度です。後ろ向き研究では、発生率(リスク)を求める事ができないためリスク比の良い推定量としてオッズ比を求めます。
論文題目
English Title
Weight Gain after 20 Years of Age Is Associated with Unfavorable Lifestyle and Increased Prevalence of Metabolic Disorders.
Authors
Noriko Takebe, Kozo Tanno, Hideki Ohmomo, Mari Hangai, Tomoyasu Oda, Yutaka Hasegawa, Nobuyuki Takanashi, Ryohei Sasaki, Atsushi Shimizu, Akira Sasaki, Kiyomi Sakata, Makoto Sasaki, Yasushi Ishigaki.
Journal Name
Diabetes, Metabolic Syndrome and Obesity: Targets and Therapy.
日本語タイトル
成人後の体重増加と生活習慣関連因子および生活習慣病との関連
著者
武部典子、丹野高三、大桃秀樹、半谷真理、小田知靖、長谷川豊、高梨信之、佐々木亮平、清水厚志、佐々木章、坂田清美、佐々木真理、石垣泰.
URL
https://www.dovepress.com/weight-gain-after-20-years-of-age-is-associated-with-unfavorable-lifes-peer-reviewed-fulltext-article-DMSO
お問い合わせ先

研究内容に関して
岩手医科大学 内科学講座糖尿病・代謝・内分泌内科分野
教授 石垣 泰

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