2020-07-28 京都大学
池田昭夫 医学研究科教授、松橋眞生 同准教授らの研究グループは、複雑なてんかん発作を新規の数学モデルにより分類しました。
突然起こるてんかん発作に対して、発作を予測し適切な治療をするために、どのような種類の発作であるかを、脳内電気活動の解析から理解することが大切です。本研究グループは、5大陸7施設から収集した実臨床における発作時の脳波データを、その開始・終了の特徴から数学の力学系モデルで16種類に分類し検証しました。
本研究では特に、本学で長年研究されてきたDC電位と呼ばれる非常にゆっくりした脳波変動を、重要構成成分の一つとして採用し、解析しました。その結果、脳波データは齟齬なく分類され、新しい数学的力学系分類が臨床に則していることが示されました。また、実臨床での多様性(1発作中の複数発作型、1患者中の複数発作型)も、この数学モデルによる新分類で説明できました。この新分類から、脳活動が通常の状態から発作へ変動移行するかどうかを把握することができます。
本研究をさらに進めて、移行パターンに即した適切な治療を発展させ、発作前脳活動状態を把握し、発作移行を予防する治療への応用が期待されます。
本研究成果は、2020年7月21日に、国際学術誌「eLife」に掲載されました。
図:本研究の分類を用いた発作マップ(Saggio et al. eLife; e-pub July 21 2020. DOI:https://doi.org/10.1101/2020.02.08.940072)