創薬シーズとなりうる希少天然物の検出にも応用
2020-09-01 京都大学
掛谷秀昭 薬学研究科教授、箕手万由里 同修士課程学生、潘承謙 同博士課程学生、小川はるか 同修士課程学生(研究当時)、森本涼太 薬学部生、倉永健史 学際融合教育研究推進センター特任講師らの研究グループは、液体クロマトグラフィー―質量分析計(LC-MS)システムを利用して、極めて微量のアミノ酸及び糖類の立体化学を高感度に検出可能な試薬の開発に成功しました。さらに、同原理を応用して、自然界に存在し創薬シーズとなりうる極めて微量な天然物(希少天然物)の検出にも成功しました。すでに、当該試薬の市販化が決定しており、今後、本研究成果は世界中で広く利用され、アミノ酸、糖類、希少天然物などに関連する医薬、農薬、食糧分野などの発展に寄与することが期待されます。
本研究グループは、ヤクアミド類(カイメンCeratopsion属が生産)の構成アミノ酸の立体化学決定時の知見に基づいて、分子内に末端3級アミンを有する複数の光学分割ラベル化剤を設計・創製した後、LC-MSシステムを利用して各種アミノ酸の立体化学決定に関する検討を行いました。その結果、従来法に比較して検出感度において非常に優れた新規光学分割ラベル化剤としてL-FDVDA(1)及びL-FDLDA(2)の開発に成功し、簡便な合成経路及び精製方法も確立しました。さらに、同原理を用いて糖類や希少天然物を高感度に検出可能なラベル化剤(3および4)の開発にも成功しました。
本研究成果は、2020年9月1日に、国際学術誌「ACS Chemical Biology」のオンライン版に掲載されました。
図:本研究の概要図
書誌情報
【DOI】 https://doi.org/10.1021/acschembio.0c00517
Takefumi Kuranaga, Mayuri Minote, Ryota Morimoto, Chengqian Pan, Haruka Ogawa, and Hideaki Kakeya (2020). Highly Sensitive Labeling Reagents for Scarce Natural Products. ACS Chemical Biology.